先日の震災直後から、私たちは情報の洪水の中にいた。あの時かけめぐった数多くの憶測の情報やうわさに一切触れることがなかったという人が果たしてどれだけいるだろうか。専門家の分析によると、過去の大きな災害時や戦時中に流れた数々のうわさと驚くほど符合する点が多いという。ただし、これらは必ずしも「正しい情報を知ろう」という意図をもって流されるわけではない。自分たちの置かれてぃる予測不能であいまいな事態に対して、一刻も早くそれを解釈しようとする気持ちがうわさを自然発生させるのである。うわさとは、いわば見えないものに対する我々自身の恐怖心、願望そのものだともいえよう。