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 若者はなぜ自動車を買わなくなったのか。自動車メーカーで販売戦略に携わる人が、ある研究会で理由をあげた。所得の減少。公共交通の充実する都市部への人口集中。未婚率の上昇。こうした要因に加え①価値観の変化も大きいという。
 「デートにクルマはいらない」「クルマに金をかける男はダサい(注1)」と言う女子大学生。
 「友人を乗せて事故などの責任を負うのが嫌」「税金や駐車場などにいくらかかるか分からないのが不安」と言う男子大学生。市場調査で集めた生の声に、クルマ好きが多い自動車業界の大人たちは②大きな衝撃を受けたそうだ。
 借金をしてでもクルマを手に入れ、仲間や恋人とぶっ飛ばす。昔の映画のような青春像へのあ こがれは乏しい。自動車だけではない。今の若者は上の世代と違って「3k 商品」に関心が薄 いと、マーケティングを研究する松田久一さんが近著で語る。3k はクルマ、カデン[家電(注2)]、カイガイ(海外)旅行を指す。
 消費にまったく興味がないわけではない。ファッション、ゲーム、家具、外食への関心は高い。日常的で事故とも無縁。しかも、買う時期を待てば値段が下がるものが多いと松田さんは言う。値段は下がる。買い物は先送りがお得。それが若者の常識だとすれば、財布を開いてもらうのは容易ではない。
(注1)ダサい:おしゃれではない
(注2)家電:家庭用電気機器

1。 (50)①価値観の変化とは、具体的に何のことか。

2。 (51)②大きな衝撃を受けたのはなぜか。

3。 (52)この文章によると、最近の若者が買いたいと思うものは何か。