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 演劇の一場面で、女が男を愛しているとする。いい役者が演じるならば「大っ嫌い」という台詞を書けばよい。言語情報は「大っ嫌い」でも、非言語情報で「大好き」ならば、「大好き」という情報は客観に伝わる。だが、下手な役者だと事情が異なってくる。「大っ嫌い」というと、本当に「嫌い」という情報しか伝わらないのである。
 だから、下手な役者が演じるときには、劇作家は台詞を、その場面の意味どおりに書かなくてはならない。「ベタベタな台詞」を書くことになる。

1。 (47)筆者の言うベタベタな台詞とはどんな台詞か。