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 「あの人は、私が話し始めて一分とたたないうちに、話題を自分の話にすりかえてしまう」と言われる人のなかには、決して聞き上手ではないけれど、不思議と嫌われない人がいる。
 話を奪われた人も、「私の話よりずっとおもしろそう。私の話が宙に消えて(注1)もしょうがないか」という①寛容な気持ちになるのだろう。
もちろん、私は「だから、話上手になればいいんですよ」とは言わない。ただ、「聞き上手でないことが帳消しになるほど話上手な人のしゃべりは、ちょっと研究してみる価値がありますよ」とご提案したい。
 聞き上手になるための“修業”(注2)をしていると、そのうち話の上手な人の特徴がわかってくると思う。
 聞き上手から、話上手でもあるというプラスアルファの魅力を持つ人間へとステップアップ(注3)するには、いつの間にか相手を自分の話に引きこむのが上手な人の話ぶりを、「それはなぜなのか」と自分なりに分析すると、とても勉強になるのだ。
 一人で分析するのが難しければ、だれかに「あの人は話が上手だよね。どんな話しぶりに惹かれる?」と疑問をぶつけてみるのもいい。
 その勉強の成果は必ずや、自分の言動に投影されるはずだ。だれだって、他人のいいところは真似したいと思うから。

(斉藤茂太『どんなグズもなおる本-17タイプ別グズ解消法』による)


(注1)話が宙に消える:話が途中でどこかへ行ってしまう
(注2)修業:学んで身につけること
(注3)ステップアップする:進歩する

1。 (50)①寛容な気持ちになるとあるが、なぜそうなるのか。

2。 (51) 話上手になるにはどうすればいいと筆者は述べているか。

3。 (52) 筆者の考えと合っているのはどれか。