練習55
 同じ温度なのに暖かく感じたり、すごく冷たく感じたりすることが、日常の生活の中にもよくあります。ただ、①あまり意識していないだけなのです。
 たとえば、部屋の気温が20度Cだとします。暑くも寒くもなく、ちょうどいい温度です。ところが、20度Cの水風呂に入るとどうなるでしょう。相当冷たく感じますね。(中略)
 熱の伝わりやすさを表す尺度を「替伝導率」といいますが、その伝導率が高いものに触るとパッと速く熱が移動します。そのスピードが速いとき、体感的に冷たく感じるのです。
 ②これに比べて空気というのはなかなか熱が伝わりにくいのです。われわれは空気のその性質を利用して、熱を逃がさないようにしています。たとえば寒いきとは、服を何枚も重ね着しますね。
 これは、重ね着をすることによって、空気の層を何層も作って、熱が移動しにくい状況をつくっているのです。住宅の壁の中に入っている断熱材も、基林的には空気をうまく閉じ込める仕掛けになっているわけです。ですから座布団など、ふわっとした、空気を包んだものを触ると、温かく感じますし、③20度Cの空気の中にいればそれほど寒くも暖かくも感じない、ちょうどいい温度なのです。

(甲斐徹郎『自分のためのエコロジー』人筑摩書房)

1。 ①あまり意識していないとあるが、何を意識していないのかが。

2。 ②これは何を指しているか。

3。 ③20度Cの空気の中にいればそれほど寒くも暖かくも感じないのは、なぜか。