練習53
以前、猫の雑誌で読者の人の投稿(注1)を読んではっとさせられた(注2)ことがある。子育てが一段落したという投稿者の女性は、日々猫に癒されている(注3)そうなのだが、猫がごはんを食べたりしただけで「たくさん食べて偉いね」などと褒めちぎっているのだという。そんな自分の行動から、自分の子どもにも口うるさいことばかり言わずに、もっと優しく接して褒めてやればよかった」と①振り返っていたのだが、子どものいない私にもその言葉は心に染み入るものだった。
 子どもに限らず、家族や友人や恋人に私たちはさまざまな期待をし、時に「本人のため」という理由から厳しい態度をとることがある。特に「親」という立場でもれば、子どもを自立たし大人にしなければ、というプレッシャー(注4)からどうしても厳しくなってしまうだろう。しかし、それは時に本人を必要以上に追いつめ、最低限の「自信」すら奪ってしまうこともある。(中略)
 だからといって②毎日本当に食べて寝て遊んでばかりいられても困るといえば困るが、基本的には元気でいてくれたらそれでOKな気すがる。

(雨宮処凛「子猫が教えくれてたこと」『ビッグイシュー日本版156』ビッグイシュー)


(注1)投稿:新聞・雑誌どなに読者が送った原稿
(注2)はっとする:急に何かに気づく
(注3)癒す:病気・傷・苦しみなどを治す
(注4)プレッシーャ:精神的な圧力

1。 ①振り返っていたのはだれか。

2。 ②毎日本当に食べて寝て遊んでばかりいられても困るといえば困るとはどういうことか。

3。 この文章で筆者が最も言いたいことは何か。