練習33 子どもや若者は本来、素直に希望を語りやすいものです。それが大人になるにつれて、実現可能性についての情報を持つようになります。すると、「希望なんどうてせかなわない
(注1)」というあきらめも生じやすくなります。また情報が少ない時代には持つことができた無邪気な希望も、高度情報化社会になると、そうもいきません。情報が多いと選択肢が増えて有利になる人もいます。しかし、自分に特別な才能がないと思う人には、希望なんてどうせかなわないと、思い知らされることのほうが、むしろ増えるのです。
情報化が進んだ社会の若者は、かつての若者以上に、希望の実現が困難であることを直観的に知っているように思います。その意味では、昔の子どもよりも、①
今の子どものほうが、夢や希望を持ちにくくなっているといえるかもしれません。
(玄田有史『希望のつくり方』岩波書店)
(注1)かなう:実現する