練習30 筆者は写真新聞、雑誌の中で。①「いいな」と思う写真に出会ったときは、自分はいま写真を見ているのではない、写真が捉えたその場に立会っているのだ、と思うようにしています。人が撮ってきたモノとして、一歩引いたところで鑑賞するでのはなく、自分も同じ現場でこのシーンを見ているのだと考えるのです。そうして、画面の中の人の声や周囲の音、匂い、モノの感触まで想像するのです。(中略)
 写真は実際にあった、ある瞬間を記録したのもです。まだ見たことのない、めずらしい風景や人との生活の場に直接つれていってくれます。古いルアバムを開け、祖父母といっしょに写ってる写真にもぐり込むと、子供の頃に戻って祖父母の声が聞こえてきます。
 良い写真とは、そこに写っている世界に入ってみたくなるような、あるいは、知らないうちに、
われを忘れて写真と話し込んでいるような、画面の中からいくつもの言葉が聞こえてくるような写真のことをいうのではないでしょうか。

(石井正彦『気づきの写真』術文藝春秋)

1。 筆者が①「いいな」と思う写真とはどのような写真か。