例題13 「ポジティブ・シンキング」という言葉が、広く知られるようになった。どんな場合も、マイナスの方向ではなく、プラスの方向に考えるという積極的な姿勢を指す言葉だ。しかし、この姿勢が強すぎると、かえって①よくない結果になることがある。
 ある人が、結婚を前提につきあっていた彼に「別れよう」と言われた。彼女は「落ち込んでいてはいけない。これは、神様が今は仕事に集中するべき時期と言っているからなのだ。ポジティブ・シンキングで乗り切ろう」と考え、仕事に全力で取り組もうと決めた。傷ついた心を無視して、毎日仕事に打ち込んだのである。しかし、実際には仕事での失敗が増え、それを指摘されるとひどく落ち込むようになり、それをくり返すうちに、会社に来られないような状況になった。
 ポジティブ・シンキングには「強くて積極的」というイメージがある。しかし、あまりにつらい状況で「強くて徒極的」になろうとすると、心に無理をさせる可能性があるのである。

1。 ①よくない結果とどうはいうことか。