練習22 音楽しにろ、美術にしろ、演劇にしろ、それを好んで鑑賞する人々の肉面には、それぞれの表現手法に憧れる気持ちがあるんだろうと思います。できることなら、自分も同じようにやってみたい。けれどもふつうの人は、自分で表現できるほどの技術はないし、そのための訓練も積んいまでせんから、プロのように歌ったり描いたりすることはできません。試しにやってみても、自分で思い描いていたような歌や絵にはならないでしょう。
そこで、人々の芸術欲を満たす代理人の役割を果たしてくれるのが、プロのアーティストたちです。
彼らの作品を鑑賞することで、私たちは、あたかも自分が何かを表現したような気分になれる。スポーツ(これも広い意味の芸術に含めていいでしょう)を見ているときの気持ちを思い出してみれば、①
そういう面があるのは明らかです。
(林望『『芸術力」の磨きかた鑑賞、そして自己表現へ』PHIP研究所)