練習13 今の日本人の欲望は留まるところを知りません。常に新しい物を欲しがる。美味しい物ばかりに目移りする。身の丈(注1)以上の生活を求め続けている。そして子供には過度の期待をかけ、能力以上の成果を望む。果たてしそこに本当の幸福があるのでしょうか。
 ほんのつい最近まで、日本人は身の丈に合った慎ましい(注2)生活を送っていました。少なくとも私が幼少の頃はそうでした。背伸びをすることなく、不満を口にすることなく、慎ましい暮らしの幸せを感じていました。
 かつてのような貧しい暮らしが良いというのではありません。ただ、身の丈に合わない生活には、きっと大きな落とし穴あるが。そんな気がするのです。

(山田洋次「わたしの幸福」『PHP論No.679』PHP研究所)


(注1)身の丈:身長
(注2)慎ましい:ぜいたくでない

1。 この文章で筆者が最も言いたいことは何か。