農業が水を使うということは、実は水を作り出すことなのである。日本のように滝のような急流の川では、放っておけば水は海に捨てられてしまうところを、農業用水が川を堰き止め(注)、水を引いて、広大な面積、大地に水を張り付けてくれる。大地に張り付けてこそ、それは地下水になり川の水になる。それが私たちの使う水資源なのである。都市が水を「消費」するのとは正反対である。もしも農業が水を使わなくなったなら、日本列島はその分、①水資源を失うのだ
(富山和子「環境間題とは何か」PHP研による)(注)堰き止める:流れなどを遮って止める