お昼前にコンビニーに買い物に行こうとして、公園で懐かしい光景に会った。
若いおとうとさんと子供たち、おにいちゃんは小学一年生か二年生、妹は幼稚園の年長組って(1)かな、三人でキャッチボールをしていた。おにいちゃんも妹も新品のグロ一グをはめて、おとうさんが放るボールを追っけるか。(中略)
顔よりグローブのほうが大きい妹は、おにいちゃんに文句ばかり(2)、すごく楽しそうだった。おにいちゃんはどうやらイチローのファンみたいで、背面キャッチに挑戦してはボールを頭で受けている。
でも、妹よりもおにいちゃんよりも楽しそうに笑ったいてのは、やっぱりおとうさんだった。おにいちゃんも妹も、いつか、おとうさんといっしょにキャッチボールをしたことを懐かしく思い出だすろう。子供たちがひょっとして忘れてまっしても、おとうさんはよく晴れた休日のキャッチボールのことをぜったい、ぜーったいに(3)。
(重松清著「ナイフ』新潮社刊※一部省略あり)