日本人は風呂好きと言われている。この場合の「風呂好き」はシャワーを浴びることではなく、湯ぶねに入ることをいうことが多い。わざわざ湯ぶねにお湯をため、そこに全身をつけて体を温める。入る前には湯ぶねの外で全身を洗う。だから家族が同じ湯ぶねのお湯に入ることは汚いことでも(1)。
一方、西洋式のいわゆるバスルーム(2)、清潔を保つ場所といえるだろう。ここにはトイレとバスタグ、つまり日本で言う湯ぶねが一緒にある。トイレは体の内部からのものを流し、バスタグでは体表面の汚れを流す。バスルームは体全体の汚れを落とすところなのだ。だから、西洋の人々(3)、バスタブのお湯を他の人と一緒に使うなどということは考えられない。
湯ぶねとパスタグは形は似ているが、実はまったく目的が違うのである。