短文
(1)
 人間は弱い存在だから、自分自身を失わないように、しっかりとした価値観を持ち、さらに働く仲間と連帯していないと、抑制心を失い、自己を喪失した者の持つ「不安にせきたてられた能動的ニヒリズム(注)」に陥る。人権を主張するよりも、会社人間になることの中に、自分の生きがいを見出すようにする。( ① )自分自身の人生の楽しみがないので、与えられた仕事をこなすことを生きがいだと信じようとする。仕事の中に我を忘れれば、ほかのことを考えなくてすむし、家族を養うため、というわけもできる。

(叫唆渋「子豊かさとは何かに』よる)

(注)ニヒリズム:虚無主義

(55)( ① )に入れる言葉として、正しいのはどれか。

短文
(2)
 表情というのは、実に大切なものである。表情を見れば、その人間の人となりまでも分かってしまう。そして表情は、上司の前に出たからといって急に変えられるものではない。日ごろの積み重ねがあればこそ、いい表情が出てくるのではないか。だから日頃から、親しみのある、人から話しけかやすい表情を作り心がけることが重要だ。そういう人のところに仕事も情報も集まってくるからである。

(江口克彦『部下の哲学』よるに)

(56)筆者が一番言いたいことはどれか。

短文
(3)
 人間には、身体的エネルギーだけではなく、心のエネルギーというのもある、と考えると、ものごとがよく理解できるようになる。同じ椅子に一時間座っているにしても、一人でぼっと座っているのと、客の前で座っているのとでは疲れ方がまったく違う。身体的には同じことをしていても、「心」を使っていると、それだけ心のエネルギーを使用しているので疲れのるだ、と思われる。このような程度のことは誰しもある程度知っていることである。そこで、人間はエネルギーの節約に努めことるになる。

(河合隼雄『心の処方箋』による)

(57)筆者が一番言いたいことはどれか。

短文
(4)
 コミュニケーションというのは、お互いを認め合ってこそ成り立つ。批判するにしても、相手の努力を認め、その長所を認識した上のものでなければいけない。相手の言い分をしかっりと聞き、それを考慮し、対案を示しながら批判する。「ここをこうすれば、もっとよくなる」ということをきちんと示せば、どんなに厳しく批判しても、言われたほうは、どうすればよいかがわかるので、次回からだんだんと力をつけていくだろう。

(樋口裕一『頭のいい人、悪い人の話し方』による)

(58)筆者が一番言いたいことはどれか。

短文
(5)
 作家というものは、その作品を書いている間だけ「作家」である。原稿を書いている時の私は作家だが、原稿を書いていない時の私は、「何を考えているのかわからないへんなやつ」である。実際にそうだと思うし、それでいいと思っている。作家というものは、作品を書き上げて「作家」になり、作品を書き終えた後は、「あの作品の作者」という形で「過去の人」となるしかないようなものである。

(橋本『『治わからない」という方法に』よる)

(59)「それ」は何を指しているか。

中文
(1)
 会社というのは何のために存在するのか。それはやはり、目的や目標、夢があるからである。「こういうことをやり遂げたい」「こういうふうになっていきたい」。そんな思いが原点なとり、組織が生まれ、会社が生まれるのである。この目標や夢を常に熱い思いを持って社員に伝えていく。それが、①経営者や上司と呼ばれる人間の役割である
 日常の仕事一つひとにつは、それぞれ峠あるが。毎日の売り上げ目標というような、具体的な目標がそれに当たるだろう。高い峠もあるし、比較的のぼりやすいものもあるだろうが、( ② )、この峠を越えなければ先へは進めない。
 そして、この峠を指し示すのは上司の役目なのだ。「今度はこの仕事をやり遂げよう」「少し高いが、頑張ってあの峠を越えようじゃないか」と部下に指示を出すわけだ。
 しかし、これは単なる目の前の目標であって、大きな目標を示したことにはならないのである。なぜならば、一つの峠を越えても、そこにはまた次の峠が待ち構えているからだ。いったい、いくつの峠を越えればいいのだろうか。最後にはどこに辿り着のくだろう。部下がこうした質問を持つのは当然のことである。上司であるならば、この部下の質問に答えなければならない。

(江口克彦『上司の哲学』よるに)

(60)①経営者や上司と呼ばれる人間の役割であるとあるが、その「役割」について、説明が正しいのはどれか。

(61)( ② )に入れるものとして正しいのはどれか。

(62)文章の内容と合っているものはどれか。

中文
(2)
 話しかけるタイミングの悪い人が増えた。彼らは呼吸が上手くつかめないのである。
 私はこれはネット社会の影響だろうと考えている。
 電子メールは便利である。メールのおかげで、ビジネス関連の時間、特に伝達事項にかける時間がずいぶん短縮された。こちらは、時間の余裕あるの時にメールを書けばよい。相手も、時間の余裕のある時に読めばよい。自分の都合、相手の都合、双方に利益があるのである。
 ①これを繰り返しているぶんには、相手の都合を考えくなてもいいのである。自分の都合のいい時に「伝達」が済んでしまう。ということは、相手の様子を読むトレーニングを積まなくなる。相手の呼吸に合わせるという感覚がなくなっていくのである。
 電話は、こちらか、相手か、どちらか忙しくても伝達を簡略化させくたなるものだ。②だが、それをぐっと堪えて相手を察する。相手の真意を扱もうとする。それが相手の呼吸を掴むトレーニングになる。
 だから、電話がいいとはいわない。私も電子メールは便利だと思う。もう、これがなくては、ビジネスは前に進まない。しかし、単純に便利な社会になったとも思えないのである。タイミングという概念は「自分中心」の人には必要ない。アルバイトの面接などをしていると、「これほど自分中心の人が増えたのか」と暗澹たる気持ちになることがある。

(竹内一郎『人は見た目が9割』による)

(63)①これを繰り返しているぶんにはとあるが、「これ」は何を指すのか。

(64)②だが、それをぐっと堪えて相手を察するとあるが、その意味しとて、正しいのはどれか。

(65)筆者が一番言いたいことはどれか。

中文
(3)
 ある日の夕方のことです。地下鉄の階段を上って外へ出ました。ちょうど退社時刻とあって大勢人のが駅へと押し寄せてきます。その情景を見て①私は愕然としました。肩を落とし、暗い表情をたし人があまりに多いのです。
 その中に自分の知っている人がいたらどうでしょうか。「あ、誰々さんだ」と気がついたとして、その表情がいつもとは打って変わって暗いものだったとしたら、声をかけるのもはばかれるのではないでしょうか。その人に対するイメージまで一変するかもしれません。
 私は考えました。
 「これはいけないな。どこで見られているかわからないのだから、外にいるときは明るく、楽しい雰囲気を漂わせるように努めけれなば」。
 楽しい雰囲気を出すには微笑みを浮かべるのが一番です。楽しそうにしていると人が寄ってきます。すると仕事も良いほうへ回りやすくなる。更に運が向いてきます。
 電話をけるかときも同じです。笑顔を浮かべて話すと声が柔らかくなり、先方によい印象を与える。どうせ見えやしないから仏頂面でいると、声で伝わってしまう。
 私の会社では、以前の②「スマイルミラー」というものを作っていました。社員の名前入りの鏡で、これを各自の電話機のそばに置いておきます。電話が鳴ったらマイスルミラーに向かってちょっと微笑んでから出る。マイスルミラーのおかげで、外部人のにずいぶん良い印象を持ってもらたえようです。外部のたとめいうより、自分のめたなのです。

(重茂達『35歳まで必ずやるべきこと』による)

(66)①私は愕然としましたとあるが、なぜか。

(67)②「スマイルミラー」とあるが、その内容と合っているものはどれか。

(68)文章の内容と合っているものはどれか。

統合理解
 ①DVDの普及などで、活字離れが進んでいるかと思いきや、実に七割以上が読書派です。「無人島で一生一人で過ごすとして、本と映画、それぞれ1作品ずつ持っていけるとしたら、何を選びますか」という質問も全員にしました。票数は、映画では「サウンド・オプ・ミュージック」が一位、本のほうは、『聖書』が一位でした。
『聖書』が一位なのは、心の平安を保つということなのでしょうか。

読書派
●原作者と直接、向き合える。映画は脚本家の解釈が入るので嫌だ。
●昨今の「活字離れ」と「想像力の欠如」はとても深くかかわっている気がしているので、自信を持って「読書派」。想像力を身につけられる「読書」という手段をもっと奨励していくべきだ。
●映画は予算の都合で原作の内容を削ることが多いので、作者の意図が伝わりにくい。また読書は何度も読み返すと味が出てくるが、映画はせいぜい二度が限度。何回も観て新たな感情が芽生えるとは思えない。
●本の世界は自分の頭の中のなで、無限だが、映画は有限。
●木屋で彷徨うのがすき。

映画派
●一緒に観た人と感想シェアをしたり、物語の過不足について補足しあったりしやすい。
●映画館が暗くなり映画が始まると、日常から切り替わるところがすばらしい。
●大切な人や家族と同じ時を一緒に分かち合える。
●最近では原作つき映画だと映画を先に観に行くことが多くなった。「ダイジェスト版」として映画を観て、その映画の評価が自分の中で高ければ原作を読む、という感じ。
●映像を楽しことができ、読書より多くの情報が得られる。そして、目以外の感念覚を刺激されて感動できる。
●映画館の雰囲気が好き。
●ビデオの普及から映画派になった。テレビという本より大きいサイズで、目以外の感覚を刺激されて感動できる。

(朝日新聞2006.2.6オピニオンより改)

(69)「①DVDの普及などで、活字離れが進んでいるかと思いきや、実に七割以上が読書派です」とあるが、その理由として、上の内容と合わなのいはどれか。

(70)「映画派」が挙げた理由として、上の内容と合っているものはどれか。

長文
 自分はなんてついていない人間なんだろうとか、世の中の人間はみんな自分に嫌なことをしてくるだとか、こんな不景気の中だったら何をやっもてうまくいかないよとか、みんなある種の思い込みを持っている。
 ところが、①思い込みを持ってモノを見ていると、どんどんそういうふうにモノが見えてくる。
 自分はみんなにいじめられていると思っていたら、ほかの人のちょっとした言動が、よけい、いじめのように映ってしまう。ほかの人が親切にしてくれたり、言っくれてたりすることも、どうせ下心があるのだと思い込んでしまうことで、かえって不適応を起こしている人がいっぱいいる。
 ( ② )、そういうモノの見方しかできなくなるには、人それぞに様々な理由がある。たとえば、小さい頃いじめられてきたとか、親の育て方、愛情が足りなかったといったものだ。これまでのカウンセリング理論では、親の問題とか、小さい頃のことを理解してそれと折り合いつけをよう(注)というような考え方をてしも、結局その世界にはまり込むだけで、モノの見方はさっぱり変わっていないことが多い。
 ということで、むしろモノの見方を積極的に変えていくいうとのが「認知療法」だ。しかし、認知療法で、「モノの見方を変たましょう」「あなたのモノの見方は間違っているからこうしなさい」といわれてもなかなか急には変わらない。
 ではどうするかというと、ビジネスの決断でもなんでも、何かを思いついたら「メモを取る」という習慣をつける。そして、その思いつきだけではなく、その他の可能性を一つでもいいからと考えて、それもメモするという習慣をつける。
 頭の中で、「別の見方をする」といっても、なかなか難しいので、頭の中で考えたことを紙に書いて客観的に見る習慣をつける。それによって、自分の一方的なモノの見方や、思い込みが直さ上れていく。
 結局、認知療法であれ、行動療法であれ、理屈で分かったところでどうしようもないわけで、それをいかに習慣づけるかということが大事になる。理屈ではなく「行動」で、さらにはそれを「習慣づける」ことで、「頭のいい自分」に一歩ずつ近づくことができるのである。

(和田秀樹『頭をよくするちょっとした習慣術』による)


(注)折り合いをつける:妥協する

(71)①思い込みとあるが、たとえば、どういう行動が「思い込み」なのか、その内容と合っているものを一つ選びなさい。

(72)( ② )に入れもるのとして、正しいものはどれか。

(73)文章の内容と合っているものはどれか。

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(74)上海万博日帰りツアーの内容に合っているのはどれか。

(75)スケジュールの内容と合っているものはどれか。