周りや他人が気にならないのは、若者(50)。大人もそうである。
今度は、東京・丸の内でのできごと。あるビルの喫茶店でコーヒーを飲んでいたときのことである。
隣のテーブルに30代ぐらいの一人の女性が、斜め向かいの位置に座った。(51)、すぐバッグを開け手鏡を取り出し、化粧を始めたのである。距離にして1メートルもない。身内でもこれぐらいの至近距離で化粧するようすを(52)。
化粧は手際よく、数分で終わった。できあがりは、確かに「きれい!だった」しかし「美しく?なかった」
このようなことは「他者意識」が欠如し、自己中心の毎日を過ごしているから起こるのである。周りや他人が気にならないから、関心もないし、思いやりや愛着なもいし、信頼感(53)欠落しかかっている。そういう大人が確実に増えている。(54)、「社会カ」が衰退している大人が多くなったということである。
毎日の生活は、少々他とのかかわりやつながりがなくても生きていける状況にある。まったくなくてもそれをカバーしてくれる環境が今の日本には整っている。そのため、毎日、おいしい肉や魚、新鮮な野菜、果物を食べ、元気の出る牛乳やお酒を飲み、いつも満腹な生活をしている。こんな生活(消費)を続けていたら、「自己チュー」になることは間違いないし、危機意識も低下し、たへいんなことに発展する可能性を秘めている。
(長南博昭「溶けてまっした『他者意識』」『月消費刊者』+による)