(5)
 作家というものは、その作品を書いている間だけ「作家」である。原稿を書いている時の私は作家だが、原稿を書いていない時の私は、「何を考えているのかわからないへんなやつ」である。実際にそうだと思うし、それでいいと思っている。作家というものは、作品を書き上げて「作家」になり、作品を書き終えた後は、「あの作品の作者」という形で「過去の人」となるしかないようなものである。

(橋本『『治わからない」という方法に』よる)

1。 (59)「それ」は何を指しているか。