何か⾔われたら、すぐ、「わかっているよ」「知っているよ」と答える
⼈が何か⾔ってきたとき、こう答えれば、相⼿は⼗中⼋九
(注1)、不快になります。「はい、わかっています」と、丁寧に答えても同じこと。相⼿に伝わるのは、あなたが、そのことについて、すでにわかっている、知っているということではなくて、「うるさい。もう、それ以上、話すな︕」ということだからです。
もし相⼿が、あなたの意図通り、「わたしは、よくできる⼈間です。だから、わたしのことを認めてください」という意味に受け取ったとしても、やはり、多くの⼈が不快になります。「わたしは、よくできる⼈間です」ということは、つまりは「あなたよりよくできる」ということだからです。つまり、相⼿との間の「違い」を強調することだからです。
この「違い」というのは、コミュニケーションにおける重要なキーワード
(注2)のひとつです。
⼀般に、⼈と協調したいときの基本は、「相⼿と同じところを⾒つける」ことで、⼈と対⽴したいときの基本は、「相⼿との違いを⾒つける」ことです。
これは、⼀対⼀のコミュニケーションから国と国との外交まで、すべてに共通するコミュニケーションの原則です。この「わかっているよ」という表現は、その原則から⾒ると、本⼈がどういうつもりであれ、①
後者、すなわち相⼿との違いを強調する表現なのです。
(ディスカバーコミュニケーションラボラトリー編『なぜか好かれる⼈の話し⽅ なぜか嫌われる⼈の話し⽅』ディスカバートウェンティワン)
(注1)⼗中⼋九︓⼗のうち⼋か九まで。たいたいの場合
(注2)キーワード︓何かを理解するために必要な⾔葉、鍵となる⾔葉