本屋にいったら、まず関係書のならんでいるところにいって、⽚端から本を⾒ていく。本のタイトル(注1)を全部読んでいけば、だいたいその分野の⼤づかみな(注2)全体像が浮かびあがってくる。
 次に、その中で⼊⾨書(注3)的なものを⽚端から抜き出して、中⾝を⾒ていく。
(中略)
 すでにそれを知っていれば問題はないが、知らなくても、書店の店頭で⽚端から本を⾒ていけば、そういう本は⾒当がつく。本を⾒ていく場合、まえがき、あとがき、⽬次、奥付(注4)だけは必ず⾒なければならない。まえがき、あとがきで、筆者がどういう⼼づもりで①それを書いたかわかるし、訳者の場合には、訳者のあとがきで、その本の客観的評価が得られる。たいていの本はまえがき、あとがきをよく読めば、購⼊する(注5)価値があるかどうかの判定をつけることができる。それに奥付を⾒れば、定評ある(注6)教科書は多くの版を重ねていることからもそれとわかる。

(⽴花隆『ぼくはこんな本を読んできた』⽂藝春秋)


(注1)タイトル︓頭名
(注2)⼤づかみな︓おおざっぱな、だいたいの
(注3)⼊⾨書︓わかりやすく説明してある本
(注4)奥付︓本の最後にある書いた⼈の名前、発⾏年⽉⽇、値段などを印刷したページ
(注5)購⼊する︓買う
(注6)定評ある︓⼀般的に評価がされている

1。 (60)筆者が、最初に知りたい分野に関係する本のタイトルを次々と読むのはなぜか

2。 (61)①それとあるが、何を指しているか

3。 (62)筆者が、まえがき、あとがきをよく読むのはなぜか