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一時は観光と買い物と( 1 )集中していた外国旅行ツアーも近頃はもっと細かくなって、音楽を聴く旅、城をまわる旅というようにある趣味の目的を持つ旅行計画もできてきた。これまた結構なことだと思う。しかし、貴重な金を使って折角の外国に行くなら、もっと勉強のできる旅行が( 2 )。
私は外国旅行をするたび、( )専門の勉強をしている日本人の若い学者に会うと、思いがけない収穫をえる。その国の美術なら美術、歴史なら歴史を研究している留学生に話を聞き、実際に彼の指示に従って現地を歩くと、その旅行は大学に一年以上、通ったような利益がある。そこで私はいつも考えるのだが、各国にある日本大使館は日本人旅行者のため、こういう留学生、研究家を講師にした講座を現地で( 4 )。日本人旅行者なら誰でも聴講できる講座(注1)がその国にあれば我々はそれによって、どんなにその国をよく知ることができるかわからない。( 5 )、それはかの地(注2)で勉強している研究家や留学生のアルバイトにもなるのである。(遠藤周作『ほんとうの私を求めて』集英社)
(注1〉聴講できる講座:参加できる勉強会
(注2〉かの地:その場所