自分の持っている知性や創造力は生まれつきのものであり、自分の力ではどうにもならないと考えている人も多い。しかし、そのような態度こそが人の限界を決める思い込みであり、逆に「成長する思考態度」を持つ人の場合は、自分の知性や能力を伸ばしていくことができるということがスタンフォード大学の教授である心理学者のCarol Dweck博士の行った20年にわたる研究で明らかになった。
 博士は成長において①自分の成長を自分で邪魔をしてしまう「固定された思考態度」とそうではない②「成長する思考態度」の考え方があると主張する。前者は根本に「自分をよく見せたい」という欲求があるため、失敗する可能性がある挑戦を避けたがる。障害にぶつかった時の諦めも早く、努力は結果につながらないと考えがちである。批判に対し、例えそれが自分に役立ついい判断材料となるとしても、ネガティブな意見であればその反応を無視してしまい、自分の成功に脅威(注1)を感じる。そして自分の能力を出し切ることができず、早い段階で能力の伸びが頭打ち(注2)の状態となってしまう。
 一方で後者は「学びたい」という欲求から始まるため、挑戦を喜んで受け逆境(注3)にぶち当たっても簡単に諦めない。努力は能力を向上するための単なる通過点と考え、批判から学び、他人の成功からも学んだりする。根本にあるのが「学びたい」という考えであるため、全てをスポンジのように次から次へと吸収し、高いレベルへと到達できるというわけである。
 最終的に博士は上記のような2つの考え方を、仕事や教育だけではなく、愛にこそ適応させなければならないと主張する。人と人の関係において「固定された思考態度」を適応させると、自分の理想の相手ではないと自分を満足させることはできないと思い込むが、「成長する思考態度」のグループは自分の間違いを認めてくれ、愛を持って成長を手助けしてくれる人をパートナーとして好む。「固定された思考態度」のグループは「相手が自分たちの関係をどう考えているか」ということについて自分とわずかな違いがあっても、脅威や相手に対する※敵対心てきたいしんを感じるという結果が出た。つまり、「固定された思考態度」こそが間違った③「真実の愛」なのである。

(注1)脅威:恐怖や不安
(注2)頭打ち:限界に達し、これ以上よくならない状態
(注3)逆境:大変な時
(注4)敵対心:相手を敵として見なす態度

1。 (問23) ①自分の成長を自分で邪魔をしてしまう「固定された思考態度」の理由としてもっとも正しい答えは?

2。 (問24)②「成長する思考態度」の人の例として正しいのは?

3。 (問25)③「真実の愛」にもっとも近い人は?