次は、死刑制度に対する二つの意見である。
Aよく死刑制度反対論者が主張するのは、多くの人の命を奪った(注1)残虐(注2)な犯人であってもその人の人権を国家が奪う権利はないということだ。では、死んでしまった人
の人権はどこにあるのか。犯人は死んだ人の人権を勝手に奪ったのではないか。また、
通常死刑を求刑(注3)された犯人は、社会に多大な影響を及ぼす非常に悪質な犯罪を犯した人間である。その人間を死刑にせず死ぬまで国民の税金で衣食住を保証するのは、とんでもない税金の浪費(注)である。また、遺族に対し大変失礼なことでもある。なにより、2016年、日本国民の80%は死刑制度を賛成しているという調査結果が出た。以上のことから、死刑制度は続けるべきである。
(注1)奪う:他人の所有するものを無理やり取り上げる
(注2)残虐:残酷で見ていられないぐらいひどい様
(注3)求刑:裁判において国が悪いことをした人に科す罰について言うこと
(注)浪費:無駄に使うこと
B現在国民の多くは死刑制度廃止に対し賛成しているが、法律の専門家集団である日本弁護士連合会では先日死刑制度廃止を主張した。その理由としてまず、死刑制度は法律で禁止する残虐な刑罰にあたるからという事が挙げられる。また、えん罪(注1)の危険性も存在する。無罪の人を誤って犯罪者にしてしまい、死刑判決を下してしまったら取り返しがつかない。実際、イギリスでは1950年に有る男性の死刑が実行されたが、その3年後に真犯人が見つかったことがきっかけで死刑を廃止することになった。さらに、死刑制度廃止は世界の流れである。すでに、10カ国が死刑を事実上廃止している。死刑を執行(注2)している国の方が圧倒的に少ないということだ。つまり死刑を廃止するかわりに、終身刑(注3)制度の導入が必要なのではないだろうか。ちなみに世論調査では、終身刑が導入された場合死刑に肯定的な意見は8割から5割程度に減っている。
(注1)えん罪:罪がないのに、罰せられること
(注2)執行:実際に行うこと
(注3)終身刑:無期限で国が決めた場所監獄からでれなくなる罰