朝から頭がずきずきして、めまいがしたので病院で行った。病院には様々な人が存在する。患者、病人の世話をする人、病人を治療する人。それら人達を服装からだけでなく、その行動と表情からも見分けることができる。
 その中でも①私は、努めて明るい顔をしようとしている人に違和感を感じる。このように感じるのが嫌で、病院で行きたくないこともある。軽い症状の患者には穏やかな顔に接し、重い症状の患者には、慰めるために表情を変える。これが私を不機嫌にしてしまうのだ。偽善というのは、このようなことだろうか。職業による仕方のない行動の結果でもあるだろう。
 しかし、その②職業的な偽善が、ある人によっては力になるのも否定できない。絶望が続くだけの状況で、きわめて小さな希望や癒し得たい人々の顔を見ると、残酷な事実を素直に言うのも大変なことだろう。病気と向き合うことも大変だが、人と向き合うことはもっと大変なことなのだ。病院の匂い嫌がいる人も多いようだが、私はその消毒薬の匂いが好きだ。その匂いが治療の匂いとして感じられるから。心理的な治療より客観的な治療を好む私の考え方の影響かみしれない。

1。 問4:筆者は、なぜ①私は、努めて明るい顔をしようとしている人に違和感を感じると考えているか。

2。 問5:この文章では②職業的な偽善をどのようにとらえたいるか。

3。 問6:患者は病院の匂いについて、どう考えているのか