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 博物館には、古今東西(注1)の様々な品物が展示されている。鑑賞のしかたは人それぞれだろうが、私は、展示品の前に立つとそれが使われていた時代へ行ったような気分になる。
 これらの品々がもともとどのように使われていたのか、どこにあったのかということが頭に浮かぶのだ。生活の中で使用されていた工芸品だったら、細かいことも想像しやすい。例えば重厚な茶碗だったら、誰がどのように使っていたのか。身分の高い人が招かれる、優雅な茶会の様子が思い浮かぶ。美しい絵で彩られた大きな花瓶だったら、どんな屋敷を飾っていたのか。複雑な模様が織り込んである着物だったら、どんな人が着ていたのか。展示品は、それを見ている私たちを別の世界へと連れて行ってくれる。
 何度も博物館に通ううちに、私は、展示品をただ鑑賞するだけではもの足りなくなってきた。例えば、なぜその絵皿には雪の模様が描かれているのか。そこには作り手の気持ちが込められているはずである。のちに、雪は吉兆(注2)を表すものだということを知った。①このようなことがわからないと、その時代にこの絵皿を使用していた人の気持ちまでは想像できないのだ。それで、私は博物館で売られている解説書を買って読んだり、図書館に通ったりするようになった。
(注1)古今東西:昔から今まで、いろいろな地方
(注2)吉兆:良いことが起こりそうな知らせ

1。 (6)①このようなこととは、どんなことか。

2。 (7)筆者は、どういうことに満足できなくなったか。