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 進化とは、生物が時間とともに「変化」していくことであって、その変化は必ずしも「進歩」であるとは限りません。第一、「進歩」という言葉には、悪いものから良いものへという価値観が入っていますが、なにが良くてなにが悪いのでしょう?「下等動物」・「高等動物」という言い方は、細菌のように、からだの体制が単純で神経系も簡単な作りをしているものを「下等」と言い、サルのように、からだが複雑で神経系がよく発達しているものを「高等」とする価値観に基づいています。そして、この考えではもちろん、もっとも高等ですぐれた存在が「人間」ということになります。

(長谷川真理子『進化とはなんだろうか』岩波書店による)

1。 (4)筆者は、「進化」と「進歩」をどう考えているか。