(3)
 マーケティング・マネジメントは、一筋縄ではいかない(注1)。なぜなら企業経営者やマーケティング担当者が、こうしたいと思っても、市場(生活者や歳客)は思うようには動かないからだ。資源を費やした新商品があえなく失敗し、他社を真似て発売した商品が大ヒットする。時間をかけて総力をあげて展開したキャンペーンが失敗し、生活者の口コミ(注2)の中で静かに広がった評判がその商品を救う。思惑(注3)と異なることがつねに起こる。そこが、対組織内部のマネジメントと対市場のマネジメントの一番の違いだ。つまり、経営者やマーケタ一(注4)の意のままにはならない市場を相手にする、これがマーケティング・マネジメントの難しさの根源にある。

(石井淳蔵『マーケティングを学ぶ』筑摩書房による)


(注1)一筋縄ではいかない:簡単にはできない
(注2)口コミ:うわさや評判が人のロからロへ伝えられること
(注3)思惑:予想
(注4)マーケタ一:マーケティングの担当者

1。 (2)筆者は、昔の日本列島はどのような社会だったと言っているか。