山小屋トイレ整備助成金の廃止
先月5日、環境局が事業
(注1)見直しを行い、山小屋に設置されているトイレの整備などを補助する「山岳
(注2)環境浄化事業費助成金
(注3)」の廃止を報告した。これを受けて、関係者からさまざまな声が挙がっている。
A
日本の山小屋は民間企業による経営が多いが、公共性は極めて高いと思われる。山小屋は遭難防止や登山道の整備など、登山者の安全にかかわる役割も担っているからだ。だから、民間経営であっても国の補助を必要とするのである。
近年登山者数がますます増加している。トイレの不整備によって、用を足したあとのトイレツトペーパーが山に放置されることになり、環境への負担も心配される。山の環境保護、美しい景色の保持のためにも、助成金は必要である。
環境浄化の費用は利用者負担という声もあるが、従来の登山者のトイレ使用料だけでは赤字で、トイレの修理すら行う余裕はない。トイレの不整備がもたらす、山の貴重な植生
(注4)への影響や河川の汚染を考慮し、今一度、山は国民全体の貴重な財産だと考え直してほしい。
B
街の公園のトイレには公共性があるが、登山者しか利用しない山岳地帯のトイレにまで公共性を認める必要はあるのだろうか。それに、山小屋はほとんどが民間企業による経営であるのだから、国費を投入する
(注5)のはおかしい。
山小屋のトイレの整備によって利益を得られるのは利用する登山者のみなのだから、利用者に料金を払ってもらう利用者負担を徹底するべきだ。
環境保全は必要だが、助成金を出すよりも、携帯トイレ
(注6)の普及などを盛り込んだ新事業に力を入れるべきだろう。また、一日あたりの入山者数を制限するなど、ほかにもできる対策はあるはずだ。
(注1)事業:社会のために行われる大きな仕事
(注2)山岳:高く険しい山が集まっているところ
(注3)助成金:公的な事を助けるために、国や県が出すお金
(注4)植生:ある場所に集まって生えてぃる植物
(注5)投入する:何かをするために、お金や人の力を使うこと
(注6)携帯トイレ:用を足したものを持ち帰れるごみ箱のようなもの