短文
(1)
 私たちが口にする食物の大部分は多くの水を含んで成り立っています。したがって、食べ物を食べることは同時に水をかなり体内に取り入れているわけです。もし、食物から水分を取り除いてしまうと、多量に水分を含んでいる食物ほど、その形を保て(注)なくなります。また、食物の水分は形態保持(注)だけではなく、その食物の味覚の保持にも役立っているわけで、日時がかなり経過して水分が減少した食物がまずくなってしまった経験があるでしょう。普段それほど意識しない食物の水分が私たちの体に重要な役割を果たしているのです。

(平湯猛男 「水のふしぎ発見】 山海党による)


(注) 保つ/保持 : ある状態を変えないで続けること

(55) 食物に含まれる水分の役割として、 筆者が述べていないものはどれか。

短文
(2)
 同じ距離を電車に乗って通勤していても、電車に乗っている時間を、長いと感じる時と、「あれっ、もう着いたのか」と思うほど短く感じる時とがある。
 では、その差はどこにあるのだろうか。一言で言うなら、「   」ではないか。雑誌や本を一生懸命になって読んでいたり、考えごとに没入(注)しているような時には、時間はあっという間に過ぎてしまう。ところが、手持ち無沙汰で、何もすることもなく、考えることもないような時には、いつまでたっても、日的地に着かないような気がする。座っていても腰が痛くなってくる。

(秋庭道陸「ことばの切れ味】 講談社+文庫による)


(注)没入 : すっかり入りこちこと

(56)「   」に入る文として、最も適当なものはどれか。

短文
(3)
 教育甘というのは、別に学校の教師に限らない。会社員の中にも、教育者としてのアイデンティティ(注)を持っている人はいる。街で子どもたちを集めてサッカースクールをやったり、剣道の教室をやったり、ピアノを教えたりという人は、たくさんいるだろう。その中には小遣い稼ぎだと思ってやる人もいるかもしれないが、多くの人は、子どもたちに何か大切なことを伝えたい、という思いをもってやっている。そういう人のアイデンティティは、教育者ということになる。

(齋藤 孝『教育力』 岩波新書による)


(注) アイデンティティ : 他と区別する自分らしさ。

(57) 筆者の言うそういう人とは、たとえば、どのような人か。

短文
(4)
顔は、生きるためだけではなくて、ほかにもいろいろな役割をもっています。そのーつは、その人を識別するための手がかりとしての役割です。顔を見れば、その人が男であるか、女であるか、何歳ぐらいであるか、ということがだいたい見当がつきます。中には見当がつかない人もいますが、要するに一種の「証明書としての役割」を顔は担っているのです。知っている人であれば、顔を見ればその人の名前もわかるでしょう。

(廊島 博『顔学への拘待」 岩波科学ライブラリーによる)

(58) 筆者がこの文章で最も言いたいことは、どのようなことか。

短文
(5)
 相手が何者かよくわからない社会では、無視黙殺するほど危険なことはない。見知らぬ他人というのは、潜在的な敵(注1)である。そう思えば、相手を敵にまわさないためには親しくなるしかない。だから初対面の相手とはせわしなく(注2)言葉を交わし、「わたしはあなたに敵意はないよ」「だからあなたもわたしに敵意のないことを示してくれない?」とメッセージを送る。あかの他人というものから成り立っている社会では、そういうコミュニケーションの作法が発達するのだろう。

(上野千鶴子「国境 お構いなし』 朝日文庫による)


(注1) 潜在的な敵 : 敵になる可能性のある人
(注2) せわしなく : 落ち着かない様子で

(59)なぜ、初対面の相手とはせわしなく言葉を交わすのか。

中文
(1)
 人間は成長するに従い、何度も皮をないて新しくなる。
 この脱皮(だっぴ)をさせてくれる助けはいろいろあるが、本はその大きなキッカケの一つである。あなたがある本とめぐり合って、その中にある一つのコトバが、何か心にかかりながら、そのときは過ぎてしまう。何年かたってふと思い出し、「そうか、そういうことだったのか、ほんとだ、あの著者のいいたかったのは、こういうことなんだな」とわかる、そのとき、あなたは一つの脱皮をなしとげる。①そういうことが何度もいろんな本でおこなわれると、その蓄積は次第に厚く深くなってゆくだろう。人生経験を積み重ね、それを裏打ちして自分にプラスしてゆくには、どうしても読書が必要になる。
 とにかく言和をたくさん知ることが望ましい。私たちはコトバを使って考えを組立てる。②積本の数は、なるべくたくさんでなければならない。さまざまな形のものも欲しい。本を読むことで、それらはいくつもできる気がする。口下手(注1)でコトバをすぐ唇にのぼせられない(若いときはそういうことが多い)人も、あたまの中にコトバがひしめいている(注2)。 それでよいのだ。

(田辺型子「読むことからの出発」 講読社現代新章による)


(注1) 口下手 : 話すことが苦手なこと
(注2) ひしめいている : すき間なく詰まっている

(60) ①そういうこととは、何か。

(61) この文章で、②積本とは、何のことか。

(62) 筆者がこの文章で一番言いたいことは、どんなことか。

中文

(63)「 」に入る文は、どれか。

(64)下の図は、筆者が見ていた写真アルバムの写真を図にあらわしたものである。この図の中で、「太宰」はどれだと考えられるか

(65) 筆者は、車内アナウンスを聞いて、なぜ、混乱してしまったのか。

中文
(3)
 子どもとかかわる仕事場と言えをば、「学校」を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。僕は教師として小学校や中学校などの現場で働いたことは一度もありませんが、これまでに多くの子どもたちにかかわって仕事をしてきました。勉強も教えてきましたし、スポーツなども一緒にやってきました。
 教師志望(注1)でもなかった僕が、こんなにも長く子どもにかかわる仕事をするようになるとは、①当時は夢にも思っていませんでした。そもそものきっかけは、アパートの一室を教室にして②塾を開設したことです。ただこれも自ら思い立ってではなく、勉強の苦手なわが子のことを悩んでいたお母さんたちが、近所に住む僕たちに「子どもたちに勉強を教えてもらえないか」と声をかけてきたのが始まりでした。
 その頃の僕は大学を卒業し、大学院に進んでいました。ちゃんとした仕事に就くまでのアルバイトのつもりで、友だち数人とこの仕事を引き受けたのです。
 それが子どもたちにかかわる最初の最初でした。それから今日まで、ずっと子どもたちとともにきましたが、なぜこの仕事を続けてきたのかを考えてみると結局、子どにかかわる仕事は、一度首をつっこむとそうそう抜けることができないくらい心躍る仕事だということ、同時に汲めども(注2)汲みきれない魅力がある。奥の深い世界でした。

(佐藤洋作「不登校の子どものためのもう一つの小きな学校」
子どもにかかわる仕事】岩波ジュニア新半による)


(注1)志望:こうなりたいと望むこと
(注2)汲めども汲めども:汲んでも汲んでも

(66)①当時とは、いつか。

(67) 筆者が②塾を開設した理由は、何か。

(68) 筆者は、自分がしてきた「子どもとかかわる仕事」をどう考えているか。

統合理解

(69) AとBのどちらの記事にも触れられている内容はどれか。

(70)AとBは「体育の日」が10月の第二月曜日になったことについて、どのような意見を持っているか。

長文
 「自分の家から駅までの地図を描いてください」そういわれて、どの程度の地図が描けるだろうか。「これまで地図の読み方は学んできたが、地図の描き方は知らない」といわれるかもしれないが、正確でなくてもよいから、一度描いてみてほしい。
 大学生のころ、心理学の授業で、①この課題が出た。制限時間は20分で、描きながら自己嫌悪を感じていた。毎日歩き慣れた道なのに、よく行く店と、危ない交差点しか頭に浮かばず、その間の店や道などがまったく思い出せないことに気づいたのだった。距離感や方向感覚もデタラメで、いかに客観的にものを見ていないかということに、気づかされた課題であった。(中略)
 地図には主題図(注1)と基本図があるが、自分で描く地図は主題図である。何をテーマに描くかは本人にゆだねられる(注2)。まったく自由に地図を描いた場合は、自分が気になっていることから描きはじめる。気になることが少なければ、地図の情報は少なくなる。いわば自分の価値観のなかにある「心の地図」がそこにはできあがるのだ。
 逆にいえば、自分で地図を描こうと街やフィールド(注3)に出れば、日頃見ていないものを見ることになる。気づかなかった看板や植物を発見したりできるのだ。新しい価値を見つけるかもしれないし、改めて自分の視点に気づくかもしれない。
 ヒマラヤ(注4)の8000メートル峰に単独で挑む友人に、地図とコンパス(注5)をどう使っているか聞いてみた。「コンパスは使うが、地図はあまり見ないなぁ」という答えが返ってきた。地図はたしかに役に立つが、地図に頼りすぎると、あまり周りの状況が感じられなくなる。登りのときにどんな場所を歩いているのか感じ取りながら歩けば大丈夫で、もし天候が悪くなったときのために、コンパスで角度だけは測っておくとのこと。つまり、歩きながら、自分の地図を描いていく。必要なものを頭に描き込んでいく。最初から地図とにらめっこすれば、頼りは地図だけになってしまう。②そのほうが危険かもしれない。
 積極的に③自分の地図を描いてみよう。そのためには周りと自分をじっくりと見なければならない。

(梶谷練「地図の読み方がわかる本]地球丸による)


(注1) 主題図: テーマをしぼって描かれている地図。観光地図、交通図など
(注2) ゆだねる : まかせる
(注3) フィールド : field、ここでは外を意味している
(注4) ヒマラヤ : the Himalaya Mountains、エベレスト山がある山脈
(注5) コンパス : 東西南北を知るための道具

(71) ①この課題が出たとあるが、どんな課題か。

(72) ②そのほうが危険とあるが、何をすると危険なのか。

(73) 筆者はどうして③自分の地図を描いてみようと言っているのか。

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(74) テルク・ベイ・ホテルで、無料で提供しているサービスはどれか。

(75) ブルックさんは、金曜の会議に出席するため、木曜の21:10羽田着の飛行機で東京に出張に行くことになった。夕食は飛行機の中で済ませる予定であり、会議の資料の準備のため、自分のパソコンを部屋で利用したいと考えている。予算は10.000円までであるどのプランを利用するのがよいか