(1番)
問題ある新聞社が「時は金なり」というテーマで読者の意見を集めた。
A
「時は金なり」ということわざがあるように、時間は貴重なものだ。電車の特急料金、クリーニングのスピード仕上げ(注1)料金、郵便の速達料金。これらは、時間を短くすることに対して支払われる料金である。時間を短縮する(注2)ことに価値が認められ、価格が決められ、利用者が金を払う。
また、航空会社の「早割り料金」というのもある。航空券を早く買うと料金が割引される。これは、航空会社が、航空券が早く売れることに価値を認め、料金を安くするのである。まさに「時は金なり」である。
人類はさまざまなものを管理するようになっているが、時間はまだ自由にならない。だからこそ、時間に価値を見出し、時間に対して金を払うのではないだろうか。
B
「サービス残業」という言葉がある。残業とは勤務時間を延長して仕事をすることであるから、当然その時間と労働に対して金が支払われなければならない。「時は金なり」であるはずなのに1円も払われないのが「サービス残業」である。つまり、社員が会社に「サービス」しているのである。社員の労働の価値とそれに使った時間の価値を認めているにもかかわらず、会社はその代金を支払っていない。しかも、社会はそれを「サービス残業」と呼んで認めている。「時は金なり」という考えはまだまだ行きわたっていないようだ。
(注1)スピード仕上げ:短い時間で完成させること
(注2)短縮する:短くする