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「話」は必ずしも「メッセージ」にはなりません。話すことは声を出して言葉を言うことだと私たちは考えがちです。しかし、言葉を言えばそれで話が通じるわけではありません。話し手が伝えたいと思う言葉は、相手に届かなければ意味がないのです。また、相手に言葉が届いたからといって、それで目的が達せられたことにもなりません。相手がきちんと聞き取り、そして内容を理解してこそ「話」が「メッセージ」に変わるのです。つまり、通じたかどうかは、聞き手によって決まるということです。

(15)「話」が「メッセージ」に変わるとはどんなときか。

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 本田さんが若いときに海外出張でE国へ行ったときのことである。到着後、まずは取引のための打ち合わせが必要なので、相手企業のスタッフに連絡し、2日後に会うことを決めた。2日後、決められた場所に行ったが、相手が来ない。電話をかけてみたところ、 「気が変わった。打ち合わせは後日にしてほしい」とのことだった。本田さんは驚いた。そして腹も立った。せっかく遠路をやって来たというのに、「気が変わった」の一言で約束を取り消すとは失礼だ・しかも連絡なしに…。後日、本田さんは現地の日本人にこの話をした。すると、彼はこう言った。「この国ではそんなことがよくあるんです。パーティーに招待した相手から出席するという返事があった。しかし、当日来なかった。しかも何の連絡もない。…招待されたとき、出るつもりがなくても一応受けておくんです。その場ですぐ断るのは失礼に当たるからなんだそうですよ」これを聞いて、本田さんは、「失礼」もいろいろなのだと納得せざるをえなかった。

(1)「失礼」もいろいろなのだの説明として最も適当なものはどれか。

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電車を待っているとき、飲み物の自動販売機を見ていた。自動販売機にはアルミ缶やペットボトルに入ったジュースやお茶や水などが並んでいるが、その容器の形は、どれも円筒形である。これはなぜだろう。

容器の容積が同じで形が異なる容器を比べると、最も表面積が小さい形は球形であり、円筒形はその次である。表面積が小さいほど使われるアルミやプラスティックの量は少なくてすむ。この点では、液体を入れる容器には球形が最も適しているはずだ。しかし、球形は、並べておくにも運搬する(注)にも扱いやすい形ではない。それで、球形の次に表面積が小さい円筒形が使われるということなのかもしれない。
(注)運搬うんぱんする:運ぶ

(6)円筒形が使われるのはなぜだと筆者は言っているか。

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 携帯電話を持っている子どもたちは、たえず友人とメールでやり取りしている。メールが来ているかどうかを、一日に数十回もチェックし、メールが届けば、すぐ返信している。相手からのメールがちょっと途切れる(注1)と、なにか落着かない不安な気分になるらしい。これはまさに、メールなしでは過ごせないという症状で、「メール依存症(注2)」という名の病気のようなものである。そして、見過す(注3)ことができないのは、こういった傾向が実は大人の中にも確実に増えているということだ。これを単なる社会現象や流行として片付けてよいとは思えない。
(注1) 途切れる : 続いていたものが途中で切れる
(注2) 依存症 : 心の支えを何かに求める傾向
(注3) 見過ごす : 見て知っているが、特に問題にしない

(4)問 筆者がこの文章でいちばん言いたいことはどんなことか。

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 「科学」というと、「難しい」とか 「わかりにくい」と考えてしまうことが多い。では、科学の研究はなぜ大変なのか。それは、一見すると知ろうとするポイントから離れているようだが実は関係のある事柄、これを緒に理解しなければならないからだ。
 一つのことがわかると、それに関連した「新しい問題点」が見つかる。調べれば調べるほど、調べなければならないことが出てくる。長いトンネルの中を進むようなものだ。けれども、どんなに長いトンネルにも出口のないトンネルはない。トンネルを抜けたとき、世界は急に明るくなり、見えなかったものが見えてくる。科学が「難しいもの」から「おもしろいもの」に変わっていくのは、そこからである。

(16)トンネルを抜けたときどんなときを表しているか。

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子どもの脳の発達には何が良い効果を生むのだろうか。お母さんがたくさん声をかけること、話しかけることが赤ちゃんの脳の発達に良い影響を与えるという研究結果も出ている。しかし、仕事を持つ女性が結婚して出産すると、どうしてもすぐに職場に戻らなければならないことが多く、職場もそれを求める。なるべく多くの時間を赤ちゃんと過ごすほうがいいとわかっていても、それがなかなかできないのが現状だ。医学的な面はさておき、社会的には、子どもが生みやすく育てやすい環境を整えること、それが赤ちゃんの脳を発達させることにつながると、私は考える。

(2)筆者がこの文章で一番言いたいことはどんなことか。

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 よく晴れた日は夜になっても気温が高いままかというと、そうではなく、気温が下がってしまいます。一方、曇った日は、昼間太陽が出なかった割には夜が暖かくなります。ちょっと不思議に思えますが、これは雲の働きによるものなのです。雲は外から来る太陽のエネルギーを吸収することで地表に届く太陽のエネルギーの量を調節すると同時に、地表から出るエネルギーを蓄えて、それを地球全体の上に配るという仕事をしています。そのおかげで地球の気温や湿度は片寄りが少なく平均的になっています。(  )とは必ずしも言えないのは、このような理由からなのです。

(3)(  )に入る適当なものはどれか。

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 「もう年だから」ではありません。「年だからこそ」なのです。若いころにはわからなかったことがわかってくる。見えなかったものが見えてくる。年だからこそ見えてくるのです。若いころには持てなかった、時計に追われない生活も可能です。これを有効につかわないなんて、もったいない話です。失敗のリスクだって若いときほどこわくない。度胸もすわって(注)きます。だからこそ、新しいことに挑戦できるのです。残りの人生が少なくなってからが、本当の人生なのです。
(注)度胸どきょうがすわる:強い心をもつ

(30)「年だからこそ」なのですの説明として最も適当なものはどれか。

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品物の価値とは何だろう。品物の価値は品物の値段で適切に表されるのだろうか。我々は毎日大量の紙を消費しているが、これは木が大量に使われているということである。自然が有限だとわかっている現代では、木を切った後には植林が行われている。しかし、その木が成長するには何年もの月日が必要である。森林が失われた後、木が成長するまでの周辺の環境変化は、人間にも自然にも大きな影響を与える。しかし、この時間と環境の変化という見えない価値は品物の値段には含まれていない。

(4)筆者の考えに合うものはどれか。

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 血液型から人の性格や行動パターンの特徴を判断したり、分類したりすることが流行っている。「彼女、AB型なんだって 」「ああ、やっぱりAB型なんだ。そうだろうと思ってた」などと言っているのをよく耳にする。しかし、血液型判断の科学的な裏づけ(注)はあるのだろうか。
先日こんな実験の話を聞いた。「あなたの血液型は××型ですね。この型の人は、このような性格、このような行動パターンをもっています」と言って、性格や行動について書き出したものを見せる。すると、たいていの人は、「ほんとにそうです。これはまさに私の性格と一致しています」と言うそうだ。実は、この書き出しの内容は、その人の血液型だけの特徴ではない。どんな血液型の人にも、つまり、だれにも同一のものを見せるのだという。ちょっと意地悪だが、血液型による性格判断の一面を表したおもしろい実験だと言えるだろう。
(注)裏づけ:証明

(5)血液型による性格判断の一面とは、どんなことだと考えられるか。