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世界のガン死亡者は増加の一途をたどりまもなく1位になると予測される。ガンの治療法は手術・抗ガン剤(注1),放射線などだが、この全でが体に大きな負担を与える。ガンが消えたり小さくなったりしても体が弱ってしまうという問題が残る。現在ガンワクチン(注2)の研究が進められているが、ワクチン治療はそれが金けられる。ワクチンを注射するだけだから、入院の必要もないし副作用もない。患者は今まで通りの生活を続けながら治療を受けることができる。
ガンは何かの原因で自分の細胞が変化してできる。私たちは病気を治すリンパ球(注3)を持っている。リンパ球は外部から異物が侵入すると直ぐに攻撃を開始する。しかしガン細胞は異物だが攻撃されない。リンパ球はガン細胞を敵だと認識できない。自分の細胞が変化して生まれた物だからだ。ガン細胞にはペプチド(注4)という物が付いているそうだ。そこで体にぺプチドを注射するとリンパ球はぺプチドを異物だと認識して攻撃を始める。当然ペプチドが付いているガン細胞も攻撃する。敵だと認識するからだ。日本の研究ではワクチンを注射した20%の人のガンが小さくなり、40%の人のガンが同じ大きさに留まっていたそうだ。しかも実験の参加者は全員助からないと言われていた人ばかりだったから、初期の人ならもっと効果があるだろう。
しかし日本でワクチンの研究がなかなか進んでいないのも現実だ。ガンはできる場所によってペプチドの形が違うから全てのガンワクチンを作るためにはばくだいな研究費が必要になる。アメリカでは研究費を年間5千億円以上使える。市民の寄付も相当の金額になるそうだ。一方日本は数百億円に過ぎない。きっとアメリカが先に作るだろう。日本はそれを使えばいいという意見が出てくるだろう。しかしそれを日本で使うためにはまた様々な試験をして国の許可を得なければならないから時間がかかる。さらに問題なのはそのワクチンが日本人を含めたアジア人には効かない恐れがあることだ。人種によって効かない場合があるからだ。だからどうしても日本であるいはアジアで開発する必要がある。国には研究のための費用をもっと負担してもらいたい。ワクチンが開発できれば多くの人の命が助かり、増加している医療費の削減にもつながる。さらに新薬を輸出することでばくだいな利益がもたらされる。国にとっても悪い話ではないはずだ。
(注1)抗ガン剤:ガンの化学治療に使われる薬
(注2)ガンワクチン:ガンの予防や治療に使われる薬.
(注3)リンパ球:病気を予防したり治したりする役目を持つ細胞
(注4)ペプチド:タンパク質の一種。アミノ酸がつながってできている