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(1)  
 墓をどうするかは老人にとっては,重大問題です。日本では先祖代々の墓は長男の家族が引き継ぎ、次男や三男の家族は新しい墓を造る習慣があります。最近墓はあるもめのそれを引き継ぐ人がいなくて困っている人が増えてきました。私の友人は1人っ子なので親の墓を夫の墓に移転させるほかありませんでした。墓の引っ越しに大変お金がかかったそうです。今後少年化や未婚率が上がるとますます墓を守ることが困難になるでしよう。そんなこともあって最近樹木葬を選ぶ人が増えてきました。木の下に眠るのです。今まで樹木葬は都会からかなり離れた場所で行われていたので行くのに大変不便でした。しかし近年都会でも樹木葬が始められました。樹木葬は一般の墓に比べて場所が狭くてもいいですし、費用もあまりかかりません。それに誰かが墓を守る必要もありません。また自然に帰りたいという気持ちにぴったりです。
 また墓ではありませんが、亡くなった人の遺骨を身近に置いておきたいという人のために、細かい骨を入れるペンダントやキ一ホルダ一が売られています。こちらは単なる入れ物ですから3万円ほどです。さらに亡くなった人の骨や髪の毛でダイヤモンドを作って身にっける人さえ現れました。骨の扱い方も様々になってきました。

(1) どうして墓の問題が起きたか。

(2) なぜ骨でダイヤモンドを作るのか。

(3) 著者は墓の問題解決のためにどんな提案をしているか。

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 2009年から日本で一般の市民が裁判に参加するようになった。裁判員制度である。しかし呼び出された人の約3人に1人が辞退しているそうだ。辞退できるのは本人や家族が病気やケガをしている場合、葬式や出産、重要な仕事などの事情がある場合である。18人ほど呼び出された中で実際に裁判員になれるのは6人(そのほか補充裁判員2名)だけだ。だから呼び出す人数が多すぎるという不満の声がある。
 日当は裁判員を選ぶ日は8千円以内、裁判員を務めた日は1万円以内だそうだ。額が多いとか少ないとを言われているが、いくら高額でも嫌だという人もいる。①裁判員が参加する裁判は泥棒などという軽い刑ではなく殺人など重大な事件だから、死刑を言い渡さなければならないこともあって、裁判員になりたくないと言う人もいる。裁判官と裁判員で話し合って多数決で判決を出すから、裁判員も責任が大きい。しかし多数決といっても必ず1人以上の裁判官の賛成が必要である。裁判官3人と裁判員6人では普通の多数決にすると裁判員だけで決められるからである。
 一般人の参加によって家族間の事件は同情して刑が軽くなり、一方性犯罪は重くなる傾向にある。よくも悪くも普通の人の考え方に近づいているようである。また市民の裁判に対する関心が高まっている。これが今回一番よかったことなのではないだろうか。

(問1)裁判員に呼び出された場合にどんな不満があるか。

(問2)①裁判員が参加する裁判はどんなものか

(問3)著者は裁判員制度が始まつて何が一番よかっナこと言っているか。

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20年以上前に留学生と一緒にNHK(注)の見学に行ったことがある。小さな部屋で3Dの映画を映していた。眼鏡をかけることもなぐただ一定の場所にいるだけで魚や雪のボールが飛び出して見えた。私も留学生も3Dの技術にびっくりした。
 ①今主流の3Dテレビは特別な眼鏡をかける必要がある。人間の右目と左目が見る映像が違うことを応用して作られているからだ。すでに映画はこの技術を取り入れて3D作品を作っている。3D映画の人気はどんどん上がっている。けれどもこのタイプの3Dテレビがどのぐらい普及していくのかはまだわからない。最近眼鏡無しでも3D映像が見えるテレビも発売された。眼鏡をかけるわずらわしさがない分こちらのほうが人気が出そうだ。これも強力なライバルになるだろう。どちらのタイプにせよ3Dテレビの普及は価格が普通のテレビと大差ないなら別であるが、そうでなければ3Dの番組がどれだけ放送されるかに影響される。アメリ力では本格的な3Dの放送が始まったそうだ。日本でも放送しているテレビ局がある。家庭用の3Dテレビの発売と同時に3Dビデオ力メラを発売する電気メ一力一も出てきた。カメラが売れればテレビも売れるだろう。こちらも影響する要素だ。
(注)NHK:日本放送協会。Nippon Hoso Kyokai の略。日本の公共放送

(1)①今主流の3Dテレビの説明はどれか。

(2)3Dテレビの普及に影響しないことは何か

(3)本文の内容に合つているのはどれか

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(4)
 自分が何かしてもらったとき「〇〇さんに〜していただく」という敬語を使う。しかしこれを「〇〇さんが~していただく」と間違えて使う人が多い。「が」を使うなら「〇〇さんが〜してくださる」と動詞を変えなければならない。外国人は授業で習うし日本語能力試験にも必ず出題される。そのうち外国人のほうが正しく使うようになるのではないかと心配だ。学校でも敬語を教えているが全然身に付いていない。有名な司会者を始め、政治や経済の重要な地位にいる人まで間違える。毎日のようにテレビで耳にするので一般の人々はこれが正しいと思うようになっている。先日友だちに作ってもらったセータ一を着ている人が「このセータ一、友だちが作ってもらった」と言っているのを聞いた。①もうここまで来ているのかと驚いた
 言葉は変化するものだ。「ら抜き言葉」(注1)も「さ入れ言葉」(注2)も仕方がない部分もある。しかし日本語で助詞は一番重要だ。日本語は分かる言葉を省略して使うことができる。それは助詞があるからだ。もし助詞が正しく使えないならもう省略した言い方はできなくなる。何とかしなければならない時期に来ているのではないだろう。
(注1)「ら抜き言葉」:「食べられる」というところを「食べれる」のように「ら」を抜いて言う。
(注2)「さ入れ言葉」:「読ませていただく」というところを「読まさせていただく」のように「さ」を入れて言う。

(問1)著者が①もうここまで来ているのかと驚いたと言ったのはなぜか。

(問2)著者はこの間違いについてどう考えているか。

(問3)本文の内容と合っているのはどれか

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(5)
 ノ一べル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさんは日本語の「もったいない」を世界語「mottainai」に提案している。しかしこの言葉が今一番必要なのは日本ではないかと思う。日本人は高度成長期の頃から物を大切にする「もったいない」という気持ちをなくしてしまった。大量消費による使い捨て文化が広まったのだ。例えば電気製品が壊れた場合日本では修理代が高いのでつい新しく買ってしまう。また豊かな時代に育った人々は衣類に穴があいたち直ぐに捨ててしまう。昔は家で古くなったタオルを使って雑巾を作っていたが、今は新しい、タオルで作られた雑巾を買っている。以前は「もったいない」という言葉は物を大切にするといういいイメージだった。しかし豊かな時代に育った多くの若者にとっては「貧乏くさい」「けち」などという悪いイメージなのだ。
 ところで最近ほとんどのスーパーの袋が有料になった。もらわないと2円ほど安くしてくれるスーパーもある。けれども袋を持って来る若者はあまりいなかった。ところがおしゃれな買い物袋が売り出されるとすてきだと言ってそれを持ち歩く人が増えてきた。①このことから若者も格好が良い物なら受け入れることがわかった。日本の伝統的な文化である風呂敷(注)は何でも包める便利な物だ。デザインもいいので外国人にいつもほめられる。何とか風呂敷を使って「もったいない」精神を広められないものかと考えている。
(注)風呂敷:物を包むのに用いる正方形の1枚の布

(問1)①このことからのこのことは何を指すか。

(問2)「もったいない」という言葉について述べているのはどれか。

(問3)著者は「もったいない」ということについてどう考えているか

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(6)
 地方にあるにもかかわらず労働条件がすごくいい優良企業がある。労働者の全員が正社員だということだけでも素晴らしいと思う。「年間140日前後の休日。残業はない。もし残業したら罰金。労働時間は1日7時間15分。年末年始休暇は2週間前後。育児休暇3年間。全額会社持ちの海外社員旅行。定年70歳で60歳以降も手当は減るが基本賃金は下がらない。営業ノルマ(注)無し」などである。こんな会社だから、海外からも見学者が絶えない。見学は1回3〜4時間かかり、案内する人も必要だ。だから1人2000円の料金を取っている。
特に素晴らしい技術があるわけではない。しかし利益を上げ続けている。なぜか。「常に考える」と言う方針の下、「改善提案制度」がうまく機能しているのだ。ただ提案するだけで500円もらえる。だから800人ほどの社員で年間13000件ほどの提案があるそうだ。会社は1年間に650万円ほど支出していることになる。経費を節約するために堂光灯の1本1本に名前のカードが下がっている。責任を持たせるためだそうだ。これも誰かの提案だろう。この会社の製品はどこにでもあるような物だがちょっと他社のより使いやすいように工夫されている。だから当然価格を高くできる。提案制度が社員をやる気にさせ、会社の原動力になっている。
(注)ノルマ:しなければならない仕事などの量

(問1)この会社の労働条件はどれか

(問2)この会社の提案制度について述べているのはどれか。

(問3)この会社について述べているのはどれか。

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(7) 
 体を温める食べ物と冷やす食べ物がある。どちらがいいということではなく体のためには季節やバランスを考えて食べるのがいい。暑い国こ住んでいる場合は体を冷やす食べ物が、寒い国に住んでいる場合は温める食べ物が必要だ。しかし病気を抱えているときはほとんど体を温めたほうがいいようだ。
 基本的には暖かい地方で採れる食物は体を冷やし、寒い地方の食物は温める効果がある。採れる季節も同様だ。果物や葉物(注)は地上で作られるから冷やし、タマネギ、ジャガイモのように地下で作られる物は温める。ただしリンゴ、サクランポ、ブドウ、プルーンなどは寒い地方で生まれたので体を冷やすのではなく温める。特にリ
ンゴは「医者いらず」と言われるほど体にいい食べ物だが、体を冷やさないこともその理由の1つのようだ。水分が少なく硬い物は、柔らかい物より体を温める。塩分が多い物や辛い物も体を温める。全ての食べ物が二分されるのではなく、私たちが主食としている玄米、トウモロコシ、芋髄、大豆はどちらにも入らないそうだ。
 昔は季節の物やその地方で採れた物を食べていたから、どれが体を温めると冷やすとか気にしなくてもよかった。今は1年中トマトやキュウリが食べられる時代だ。だから健康維持のために食べ物が体を温めるか冷やすかを知っておく必要がある。
(注)葉物:ほうれん草などのように葉を食べる野菜

(問1)食べ物をどう食べたらいいか。

(問2) 食べ物の分け方で正しいのはどれか。

(問3) 本文の内容と合っているのはどれか。

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(8)
 国際化時代になって外国に語学留学する人が増えてきました。語学留学は単にその国の言葉を学ぶことだけではなく人々の生活や習慣を知ることにもな-ります。あなたが出会った人にとってあなたが初めて出会う韓国人かもしれません。あなたの行動があなたの国の人に対する印象を決めてしまうでしょう。あなたがキムさんでもキムさんではなく韓国人と見なされるでしょう。よい行いをすれば韓国や韓国人の評判がよくなり、悪い場合は悪く言われるのです。大げさに言うとあなたは韓国人の代表になつているのです。
 一方あなたも出会った人によってその国の人全員を評価してしまうでしょう。運良くいい人に出会えばその国の人はこんなに親切なのだと思い、運悪く意地悪な人に会えばひどい人たちなのだと思ってしまう。それは自然なことです。しかし実際には平均的韓国人あるいは平均的〇〇人という人はいなくて、キムさんあるいは日本人なら山田さん、イギリス人ならスミスさんという人がいるだけです。長くそこで暮らしているうちにあなたはきつとそれに気がつくでしょう。自分の国と同じよういい人もいれば悪い人もいるとわかるでしょう。しかし、特別な場合を除いて多くの外国人と知り合うことはめったにありませんからあなたが与えた印象が固定化してしまう恐れがあります。ですから海外ではよく考えて行動しなければなりません。

(問1) 著者は語学留学することはどんなことだと言っているか。

(問2) あなたが与えた印象が固定化してしまうとはどういうことか。

(問3) 本文の内容と合っているのはどれか。

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(9)
 昔は秋になると農家は次の年に畑にまく種を作るためにトウモロコシを軒先につり下げていた。しかし現在はほとんどの農家は種会社から種を買っている。その種のほうが自分で作った種よりもっとおいしかったり、病気に強かったり、もっと収穫できるからだ。しかしそれはハイブリッドと呼ばれる子孫ができない種なので、毎年買い続けなければならない。
 農家にとって、特に貧しいアジアの国の農家にとって、毎年種を買うのは大変なことだ。フィリピンでは「ハイブリッド種」に反対する農民同士が種の交換を始めた。バングラデシュでは「輸入ハイブリッド種」を買うことが国内の種研究者の反発を招いている。ベトナムからはハイブリッドを使っても収穫量がわずかしか増えず、ハイブリッドは肥料がたくさん必要なので、結局利益はほとんど増えなかったという報告もある。世界のハイブリッド種のほとんどは欧米の会社が所有しているから、貧しい国からますますお金が吸い上げられていく問題もある。
 ハイブリッド種が本当にいいのかどうかわからない。いいハイブリッド種もあるだろう。しかしいいとか悪いとかいう問題ではない。種を企業に握られていることこそが問題だ。それも多くの場合、外国の企業に握られているのだ。売ってもらえなくなったり、急に値上がりしたりする恐れはないのだろうか。種から作物ができ、またそこから種ができ、命がつながっていく。これは自然なことだ。無理な話だとは思うが、そうできる良質な種を作つてもらいたいと思う。

(問1) 「ハイプリツド」について説明しているのはどれか。

(問2) ハイブリツド種が広まった結果、どんな問題が起きているか。

(問3) ハイブリッド類に対する作者の意見はどれか。

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(10)
 私たちは疲れを取るためによくお風呂に入る。しかし実際にはお風呂に入るとかえって疲労物質が増えてしまうそうだ。お風呂がいいのは実はその後ぐっすり眠れるからだそうだ。疲労物質を減らすには目を閉じてじっとしているのが一番いいそうだ。つまり睡眠が一番いいことになる。勿論昼寝もいい。
 毎日睡眠時間が十分に取れればいいが、忙しい人には難しい。では1週間に1度でも十分に寝たら疲労物質を減らす効果があるのだろうか。寝過ぎてかえって疲れたと感じた経験があるだろう。それは疲労物質が減っても疲労感が残っているからだそうだ。疲れ過ぎて脳が疲労を感じられなくなっているときに十分に寝るといままで働きが鈍かった脳が活発に働いて疲労を感じられるようになるのだ。そして「かえって疲れた」と感じてしまうのだそうだ。
 また「頑張っているね」とか「おかげで助かったよ」とかほめられると疲労感が減るそうだ。栄養ドリンクやコーヒーを飲んだりしても同様の効果がある。甘い物を食ベることもいい。うれしい・楽しいなどといった気持ちが疲労感を減らす。しかし疲労物質が減ったために元気になったのではないことを忘れてはならない。
 疲労物質を減らすためにいい食べ物もある。鳥の胸肉に疲労物質を減少させる物質が最も多く含まれているそうだ。渡り鳥はその物質を持っているので何千キロも休むことなく飛び続けることができるそうだ。

(問1) 疲労物質を減らすことができるのはどれか。

(問2) 疲労物質が減らず、疲労感だけが減るのはどんなときか

(問3) 本文の内容と合っているのはどれか

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(11)
 日本には変わった会社がたくさんある。ある会社は人を雇う時、魚を食べさせて、きれいに食べられた人を採用するそうだ。手先の器用さを見ているのだろうか。しかしもっと変わった会社がある。試験も面接も全くない。入社は申し込み順だ。決して名もない会社ではない。その会社は重さ100万分の1グラム、直径0.14ミリという世界最小の歯車を開発した会社として有名だ。その技術力を買われて世界中から仕事の注文が来る。世界各地へプラスチック小型精密部品を供給している。
普通、人を雇う時は筆記試験や面接をしてよく調べる。それが学歴も経歴も知ることなしに人を雇うのだから本当に驚くべきことだ。それで困ったことはないのだろうか。この会社に応募してくる人は他の企業では採用されないような人が多い。学歴がなかったり、元不良だったり、髪を染めたりしていて断られるらしい。そのような問題児と言われる人たちもきちんと技術を覚えてしっかり働いているそうだ。それどころか大学教授を感心させるほどの知識を身につける人も出ているそうだ。社長に言わせると、企業が「能力がある人がいない」などと嘆くのは、人を育てる能力がないことを示していることになるそうだ。人は認められれば力を発揮するものだ。人が変わり会社も変わっていく。またここにはもう1つ驚くべき決まりがある。会議に参加するのもしないのも社員の自由なのだ。この2つが会社の発展を支えているに違いない。

(問1)この会社はどんな人を採用するか。

(問2)この会社の特長ではないのはどれか。

(問3)社長は先着順採用についてどう言っているか。

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(12)
 現在世界では太陽光発電、LED、リチウム電池、水の浄化装置などの開発及び販売競争が起こっています。日本の技術はどれをとっても一流です「しかし常に価格競争に巻き込まれて企業はどう利益を出したらいいのか悩んでいます。そこでこれらの技術をバラバラに売るのではなく、技術を集めた野菜工場を売り出すことにしました。
 日本では50ほどの野菜工場が動いています。畑で野菜を作れるのは年に2〜3回ですが、工場では月に1回ぐらい収穫できます。また工場で作られた野菜は無農薬なので少し高くてもどんどん売れています。洗う必要もないのでレストランなどでも喜ばれています。北海道のような寒い地域では工場で作られた野菜が大活躍です。遠い暖かい地方から運ばれてくる野菜は運送費がかかりますが、現地で作られた野菜は輸送費が安いので価格でも十分に勝負できるようになりました。
 この野菜工場のシステムを砂漠や寒い国に売ろうとしています。電気が来ない場所でも使えるように上に太陽電池パネルを取り付け、太陽の光の代わりに消費電力が少なくても済むLED電球を使いました。またできた電気を保存するためにリチウム電池を、さらに水の消費を抑えるために循環装置をつけました。こうした装置を1つの箱に入れて売るのです。野菜工場を輸出するのは始めてです。成功する気がしてきました。

(問1) 野菜工場について述べているのはどれか。

(問2) どうして野菜工場を売ることにしたのか。

(問3) 本文の内容と違うのはどれか。

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(13)
 2010年の出版物の推定販売金額は約1兆8700億円、前年より3.1%減少、1998年から連続のマイナス成長となった。推定売上げが1兆円を超えたのが1976年、2兆円を超えたのが1989年だから、その約10年後から減少し始めているわけだ。書籍は1996年、雑誌は1997年にそれぞれピークを迎えている。また景気後退の影響で2009年には57の出版社が倒産している。
 ニュースをコンピューターや携帯電話で読むようになってきた。新聞より速いし、ほとんどお金もかからない。最近携帯小説(注1)が注目されていて、中には100万もの小説を集めている携帯サイトもある。人気小説は本や映画になったりするので出版界も無視できない。
 2010年の携帯電話やパソコン上で読む書籍(雑誌を除く)市場は推計650億円だったが、数年後には3千億円になると予想されている。このような状況下で電気製品会社が多くの電子書籍が読める装置を売り出すのは当然だ。2010年はその契機として歴史上に残るかもしれない。わずか6ミリの電子書籍装置も売り出された。ただ本を読むだけでなく新聞も読め、メールもでき、ネットから(注2)動画も下ろせる携帯電話に似た機能をつけてあるから、ビジネスマンにも受け入れられやすい。アメリカでは電子書籍は印刷した本の3分の1ぐらいの直段だから、とても買いやすいそうだ。同じように世界中に広まっていくのは時間の問題かもしれない。
(注1)携帯小説:携帯電話を使って書いたり読まれたりする小説
(注2)動画:映画。アニメ・ビデオカメラなどで撮影した映像

(問1)出版業界はどう変化してきたか。

(問2)携帯小説について述べているのはどれか。

(問3) 2010年はどうして歴史に残るかもしれないのか。

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(14)
 カラスほど嫌われている鳥はないだろう。確か童話にこんな話があった。好きな色にしてもいいと言われた鳥たちはそれぞれ直ぐに自分の色を決めたが、 欲張りな力ラスは決められなかった。この色がいいあの色がいいと塗っているうちにとうとう黒くなってしまったという話だった。色を混ぜたら最後には黒くなると知っていたから、カラスって馬鹿だなと思った。カラスは黒いとばかり思っていたからロシアで黒と灰色の2色のカラスを見て驚いた。ちょっと可愛らしいとさえ思った。そのときやっぱり黒い色が悪い印象を与えているのかもしれないと思った。
 カラスが嫌われているのは人間にとって都合が悪いことばかりするからだ。都会では餌を求めてゴミを散らかし、農村では餌にするわけでもないのに作物を畑から抜いちたりする。線路に石を置くこともよく知られている。事故になるかもしれないから大変困ったことだ。また子供を守るために人間を攻撃することもあって危険だ。
 よく留学生が東京は力ラスだらけだと言う。確かにほかの都市より力ラスが多いと思う。店から出るゴミが多いので餌に困らないからだ。東京はカラスが増えすぎて困っている。夜、巣に戻ってくるたくさんのカラスを見るとどれだけ増え続けるのかと恐ろしくなることがある。実際には力ラスはとても賢く可愛らしい鳥だと研究者たちは言うが、当分一般の人の考えは変わらないだろう。

(問1) カラスはどんなことをしているか。

(問2) 著者の力ラスに対する考えと違うのはどれか

(問3) 本文の内容と合っているのはどれか