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 近代以前の社会では、職業はおのずと定められていることが多く、選択の幅はきわめて小さかった。さらに、生まれて死ぬまで同じコミュニティ(注1)のなかで暮らす人が多かった。
 それに対して近代社会では、人びとは自由に職業を選択できる。また国内ならば自由に移動することもできるし、自由に起業したり、趣味やボランティアのサークルをっくって活動することもでぎる。
 つまり、近代社会では一人ひとりの「自由」という理念が大切にされ、さまざまな自由な活動が保証されている。そしてそれに対応して、社会の側も、不特定多数の人びとやモノや情報がさまざまに行き交う(注2)空間となっているのである。

(莉谷剛彦、西研『考えあう技術一教育と社会を哲学する』筑摩書房)


(注1) コミュニティ:地域社会
(注2) 行き交う:行ったり来たりする

1。 (練4)この文章で筆者が最も言いたいことは何か。