「みずみずしい肌」は文字通り水分量が多いらしい。弾力が失せるのは水分が減るからという。専門家(50)よれば赤ちゃんの皮膚の細胞は8割が水だが、高齢の女性だと5割ほどになるのだという。
 齢を重ねれば、外見の老化は仕方あるまい。しかし精神の方はどうだろう。評判になっている99歳、宇都宮市に住む柴田トヨさんの初詩集『くじけないで』(飛鳥新社)を読んでみた。(51-a)言葉から滴るみずみずしさに、心が(51-b)。
 〈私ね 人から/やさしさを貰ったら/心に貯金をしておくの/さびしくなった時は/それを引き出して/元気になる/あなたも 今から/積んでおきなさい/年金より/いいわよ〉。「貯金」という詩の全文である。
 90歳を過ぎて詩を作り出し、産経新聞などに投稿してきた。(52-a)はおおらかで(52-b)があり泣かせもする。聞けばお独り住まいという。週末に(52-c)が訪ねてくる。訪問医やヘルパーさんにも支えられて、詩心をふくらませる日々だそうだ。  白寿の詩人を敬いつつ、世間を見やれば、お年寄りの孤立が進む。今年の高齡社会白書によれば、独り暮らしの3割以上は会話がないのが日常的に(53)。孤独にさいなまれれば心は乾き、ひび割れてしまう。
 く私ね 死にたいって/思ったことが/何度もあったの/でも 詩を作り始めて/多くの人に励まされ/今はもう/泣きごとは言わない〉。柴田さんのみずみずしさの秘密は、たぶん「多くの人に励まされ」にある。絆や支え合いの大切さを、それは(54)。

(「朝日新聞」く天声人語〉2010年7月16日付)

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