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壁はともすれば(注1)行動の限界を決めてしまうネガティブな(注2)イメージをもたれていますが、実は人間が他の個体と関係を調整するための大変重要なエレメント(注3)だったのではないか、とぼくは考えています。壁があったから、人間は仲良く暮らしてこられたのだ、と。壁によって隔てられれば、心理的な距離ができますから、密度高く住むこともできて、移動する距離は少なくてすむ。会おうと思えば会えますし、会いたくなければ壁のうちにこもっていれば(注4)いい。
(注1)ともすれば~もたれる:ここでは、~もたれることもある
(注2)ネガティブな:ここでは、マイナスの
(注3)エレメント:要素
(注4)~にこもっている:~から出ないでいる