宇宙開発は、時代の節目を迎えている。宇宙飛行士の山崎直子(やまざきなおこ)さんが乗ったスペースシャトル・ディスカバリーの飛行がそれを象徴している。
 シャトルの乗組員は7人中3人が女性で、ドッキングした国際宇宙ステーション(ISS)でも1人が長期滞在しており、女性は合わせて4人となった。長期滞在組の6人の中には野口聡一(のぐちそういち)さんもおり、日本人2人の初顔合わせも実現した。
 宇宙活動が新しい時代に入ったことを感じさせる光景だが、( 41 )、間違いなく、一つの時代の終わりをも告げている。
 1981年の初飛行から約30年、老朽化の目立つスペースシヤトルは今年中には引退する予定だ。日本人がスペースシャトルで飛行するのは、今回が最後になるだろう。
 来年からは、ISSに人を運ぶのはロシアのソユーズ宇宙船だけになる。
 宇宙開発をめぐる状況は今、内外ともに大きく変わりつつある。
 日本も、とりわけ巨費を要する有人活動についてどう進めるのか、広い見地から考えるべきときを迎えている。
 米国のオバマ政権は2月、プッシュ前政権の有人月探査計画を( 42‐a )一方、2015年までしか決まっていなかったISSの運用を20年まで( 42-b )考えを明らかにした。シヤトルの後継となる、宇宙への乗り物の開発は民間に託すという。
 先端的な科学技術の先導役としての宇宙開発の重要性は認めるけれど、予算難もあるので効率的に進めよう、という考えのようだ。
 日本も政権交代で、宇宙開発の戦略は練り直しが( 43 )。
 内閣官房(かんぼう)に置かれた宇宙開発戦略本部が自民党(じみんとう)政権時代に宇首基本計画をまとめている。二足歩行ロボット、次いで有人による月探査計画も盛り込まれた。しかし、歩調を合わせていた米国の月探査計画が後狙した( 44 )、宙に浮いてしまった。
 一方、前原誠司(まえはらせいじ)宇宙開発担当相の下で、有識者会議が2月から今後の宇宙開発について議論を始めたところだ。
 宇宙開発は、技術のフロンティアで( 45 )、ISSには米口のほか欧州やカナダなども参加しているように国際協力の場でもある。目先の利益だけで判断はできない。
 だが、予算が限られているのは日本も同じだ。有効に使うのは当然だ。日本の強みをさらに伸ばし、国際的にも存在感を発揮することを考えたい。
 まず、毎年約400億円かかるISSの日本の実験棟「きぼう」の運用の意義を再確認することが欠かせない。
 さらにその先に、自前の有人飛行をめざすのか。むしろ日本が得意なロボット技術の追究に力を注ぐべきなのか。しっかりした戦略を立てたい。

(「朝日新聞」2010年4月8日付)

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