短文
(1)
 今の子どもたちは、先生に問題を出され、先生から答えを教えてもらうことに慣れてしまい, 答えばかりか疑間さえも見つけることをしなくなってしまったのではないか。知っていることが重要だと勘違いし、問題と答えを覚え、知識を得たことで満足してしまっている。それでは疑問を解く過程で味わう楽しみや、何日もかかって答えにたどり着いた時の喜びを味わうことができない。なんだか、かわいそうな気がする。
(小菅正夫『文藝春秋』2006年11月臨時増刊号による)

(55)今の子どもたちについて、筆者はどのように考えているか。

短文
(2)
以下は、上司が部下の中島さんに工場見学の受け入れ準備について指示したものである。

<工場見学受け入れ準備>


見学日時:12月18日(金) 10時〜12時
見学者:池内日本語学校(20名)
●12月10日(木)までに見学当日使用の会議室Aの予約
●12月11日(金) 池内日本語学校(関口先生)との事前打ち合わせ
 時間:11時~12時
 場所:会議室B (予約不要)
 確認すること:
    ・見学者の日本語レベル
    ・会社案内パンフレットの言語(日本語か英語か)
●12月17日(木)までに会社案内パンフレットの準備(20部)
●12月18日(金)9時半までに会議室Aの準備

(テーブル、いす、会社案内パンフレット)


(56)中島さんが準備すべきこととして、合っているのはどれか。

短文
(3)
 動物は、ふつう常温のものを食べています。ところが、ヒトは冷めた料理はおいしくないというように、常温の料理を好みません。むしろ、熱くした料理や、冷たくした料理を好みます。ヒトは、辛い味、強烈な(注)におい、熱い、冷たいなど、あらゆる手段を使って、食欲を刺激する工夫をしてきたのです。こうした言い方は、ヒトと動物のちがいを強調したものですが、べつの言い方をすれば、これが人の食文化をつくってきたのです。
(注)強烈な:強い

(栗原堅三 [うま味って何だろう】 による)


(57)これとは何か

短文
(4)
以下は、ある企業の経営者の考えである。
 会社を大きくしていくためには、私自身、やはり自分ができないことがたくさんあるのは分かっていますから、いろいろとスタッフに要求していかなければ達成できないんです。自分じゃ到底できないことも、「できるはずです」と要求していかないと、私の能力が組織の能力の天井(注1)になってしまいます。ですから、私がすべてのマネージャー に伝えているのは、「自分のことを棚に上げて(注2)、スタッフに要求すべきことは要 求してください」ということです。

(日本放送協会・日本放送出版協会(NHK出版)編 『NHK仕事学のすすめ2010年 10-11月号』による)


(注1)能力の天井:能力の限界
(注2)自分のことを棚に上げて:ここでは、自分ができるかどうかに間係なく

(58)筆者がマネージャーに言いたいことは何か。

短文
(5)
 人を不愉快な気持ちにさせないように、反論もせず、自分の不快な気持ちも伝えないで 黙っていると、相手はあなたを理解するチャンスを失い、互いに自分らしくつきあうこと ができなくなるでしょう。
 もちろん、相手も自分の気持ちや考えを表現してよいので、そこで葛藤(注)が起こる こともあります。
 ただ、葛藤や違いが明らかになることを避けて、親、上司、先生に意見を言わなかったり、支援を頼めなかったりすると、その場は何事もなく進むかもしれませんが、誤解のうえに人間関係がつくられていくことになります。

(平木典子『アサーション入門一自分も相手も大切にする自己表現法」による)


(注) 葛藤:ここでは、

(59)対立回人間関係について、筆者が言いたいことは何か

中文
(1)
 人間というのは、自分でわかっていることに関しては手早くポイントだけを取り出して 相手に教えて、たくさんの説明をつい省略してしまいがちだ。そのせいで、教わる側が理 解しにくくなってしまうこともある。人に教える時には、自分が理解した時点まで戻ってていねいに相手に伝えないと,うまく理解してもらえないのではないか。
 また、そのプロセスのなかで、教わる側が積極的に質問することがとても重要だと思う。質間をすれば、何を理解していないのか、何を題解しているのかが、教える側にとてもよくわかるからだ。それに,同じことでも繰り返し説明されることによって,理解が深 まるケース(注1)も多い。
個人的には、一回だけの説明で理解してもらえるケースというのは、実はとても少ない のではないかと思っている。
 また、すべてを教えるのではなく大部分を伝え、最後の部分は自分で考えて理解させる ようにするのが、理想的な教え方ではないかと考えている。
一方的に入ってきた知識は、一方的に出て行きやすい。しかし、自分で体得(注2)し たものは出て行きにくい。  小学生に大学の講義を聞かせてもチンプンカンプンな(注3)ように、相手のレベルに 合わせて、相手が必要としていることを教えなければ意味はない。それは、非常に微妙な 調整を必要とする、ある種の職人技だ。そんなところが、教える側の大きなやり甲斐では ないかと考えている。

(羽生善治『大局観一自分と闘って負けない心』による)


(注1)ケース:場合
(注2)体得する:身につける
(注3) チンプンカンプンな:全くわからない

(60)教える側がよくしてしまうことは何か

(61)理想的な教え方とはどのようにすることか

(62)ある種の職人技とあるが、どのようなことか

中文
(2)
 近年、おもちゃメーカーが大人に向けたおもちゃに力を入れ、売り上げを伸ばしている。少子化に伴い, マーケットを大人にまで広げる必要性が出てきたという事情もある が、この売り上げの伸び方はそれだけでは説明できない。その裏には、大人に「おもちゃを買いたい」と思わせたおもちゃメーカーの戦略がある。
 子供の時に欲しいおもちゃをすべて買ってもらえたという人はいないだろう。買ってもらいたかったのにという思いを忘れられず、今でもおもちゃに思いを寄せる大人は意外と多い。おもちゃメーカーはそこに注目した。 しかし、大人が子供向けのおもちゃを買うことには抵抗があると同時に、物足りなさも感じる。大人向けのおもちゃには、大人が買いたくなる工夫が必要だ。例えば、鉄道模型には特殊な素材を使用し、完成後にインテリアとして飾ることができる。組み立て式のミニギターは組み立て後に本格的な演奏も楽しめるし、色使いが落ち着いたカードのゲームは気持ちをリラックスさせる。このように、大人向けのおもちゃには単におもちゃとして遊ぶだけではない他の魅力がある。
 また、大人向けのおもちゃは高いものが多い。高くしたほうが価値があると考えられて人気が出ることさえある。一般的にメーカーは商品価格をあまり高く設定できないものだが、大人向けのおもちゃならできる。おもちゃメーカーにとっては魅力的なマーケットである。

(63)そこに注目したとあるが,何に注目したのか

(64)大人向けのおもちゃには、どのような工夫があるか

(65)メーカーにとって大人向けのおもちゃマーケットの何が魅力的なのか

中文
(3)
 今の若い人は、ある程度完備した科学社会に生まれている。携帯電話もカーナビ(注1)も当たり前になった社会である。発展の過程を見ていない彼らは、どういった原理で それらが機能しているのかを知らない。知らなくても、その恩恵を受けることができる。充電さえしていれば、誰とでもいつでも連絡がつくと信じている。電波がどんなもので、どのような設備によって成り立っているのかを知らない人が多い。十数メートルしか離れて いない場所なのに、携帯電話が通じなくなることがあるなんて、考えてもいないだろう。
 こういった「科学離れ」については、昔から問題意識はあった。だから、子供たち向け に科学を教育するシステムをいろいろな形で模険(注2)してきた。けれども、僕が感じることが一つある。そういう教育をしているのは、科学が好きな人たちだ。だから、口を揃えてこう言う、「科学の楽しさを子供たちに知ってもらいたい」と。この言葉を聞くた びに、「楽しさ」を押しつけている姿勢を感じずにはいられない。
 読書の楽しみを知って もらいたい。スポーツの楽しさを感じてもらいたい。ほかの分野でも、こういった姿勢は 根強い。しかし、科学の場合は、そんな悠長な(注3)問題ではないと思うのだ。読書やスポーツが嫌いな人は、それをしなくても良いだろう。楽しみは、ほかにいくらでもある。しかし,科学を避けることは、この現代に生きていくうえではほとんど無理なのでる。(中略)もはや(注4)、好きとか嫌いで片づけら(注5)れるものではない、ということだ。
(森博嗣『科学的とはどういう意味か』による)
(注1) カーナビ:自分の車の位置を知らせながら道案内する装置
(注2)模索する:探し求める
(注3)悠長な:のんびりした
(注4) もはや:今ではもう
(注5)片づける:済ます

(66)筆者は、今の若者をどのように見ているか

(67)僕が感じることが一つあるとあるが、何を感じているのか

(68)筆者の考えに合っているのはどれか

統合理解
A
 仕事で成果を出すにはノートの活用がお勧めです。ノートにはスケジュール管理や収 集した情報の記録だけでなく、日々の仕事に関する気づきや考えをいつでもどこでも書 くことが可能だからです。毎日仕事で忙しいときちんと記録することが面倒になりがち ですが、メモのように書くことなら気楽にできます。また、ノートに書いておけば、自 分の考えを後から見直すこともできます。
では、どのように書いたらいいのでしょうか。テーマ別に分類したり、整理して書こ うとすると負担となり続けられないので、日付の順で構いません。仕事に関することは 何でも一冊のノートに書き込んでいくのがいいでしよう。

B
 ノートとは新しい情報を記録するためのものだ。必死にノートに書いて覚えたという 学生時代の記憶からか、そんな思い込みがあるかもしれない。
しかしノートの利用法はそれだけではない。ノートをうまく利用すれば、自身の考え を改めて検討することができる。仕事では、新しいアイデアを提示したり、困難な課題 を解決したりする能力が求められる。そのような力を養うために, ノートには情報を記 録するだけでなく、自身の気づきや考えを書いて整理するという方法が有効だ。情報の メモと考えはノートを別にするのがよいだろう。そうすることで集めた情報の中におぼ れず、どう考えるかを自身に問いかける姿勢が身についていく。

(69)ノートに書く利点について、AとBの考え方で共通していることは何か

(70)ノートの書き方について、AとBはどのように述べているか

長文
 小説家になりたい人には「好きな作家のものを全部読む」という読書法をすすめる。好きな、というのは、自分に合っている気がして読みやすく, しかも楽しいというものだ。
 いろんな作家をちょっとずつ読む、というのでは、あまり身につくものがない。ベストセラーになっている話題作をせっせと追いかける、というのはもっとよくない(注1)
 ベストセラーになる小説は、とりあえず何かいいところがあって売れているのだから、読めば参考になるではないかと言うかもしれないが、それを読んで参考にしている人がたくさんいる、ということなのだ。みんなが狙っている方向で、自分もやってみるというの では、目立つこともないわけである。
 (中略)
 ひとりの作家(あなたにとって、不思議に肌合(注2)いがよくて楽しめる小説を書く人)の全小説を読んでみるのは、知らず知らずのうちに、その作家の「小説作法」を感じ取ることである。この人は小説を、このように構成するのだ、そこが心地(注3) いいの だ、とわかることである。この人は人間心理を、このように描写する(注4)。この人の社会観はこうである、なんてこともわかる。
 ②それがわかれば、似たようなものを書くところまであと一歩、なのである。特別にマネ して書こうと思っていなかったとしても、書くものは自然と,その作家の作風(注5)と 似たものになり、初心者が書いたにしては完成度が高いものになるだろう。
 こう反論する人がいるかもしれない。小説を書いて世に発表したいという願望は、自分というものを世間に知らしめたい(注6)ということであって、つまりは自己表現状から出てくるものだ。それなのに、他人の作品をマネているのでは、自分の表現にはならないのではないか。
 自己表現状のことは、確かにその通りである。しかし、慌てないで順に段取りを踏んで いこうではないか。いきなり自分らしさを出したいと考えるのではなく、まずは世間が振り向いてくれるレベルのものが書けるよう、上達する必要があるのだ。
 私の書くものには価値があるのだから、世間は注目しなければならない、と思い込んで しまう人が案外いるのだが、それではなかなか読んでもらえない。
だから、まずはうまく書けるようにならなければいけない。
 そのための訓練として、ある作家を熟読(注7)しているというのは、大変に有効なので」ある。

(清水義範『小説家になる方法』による)


(注1) ベストセラー:ここでは、最も売れている本
(注2) 肌合いがよい:ここでは、自分の感覚に合う
(注3) 心地いい:快い
(注4)描写する表現する (注5)作風:作品に表れた特徴
(注6) 知らしめたい:知らせたい (注7)熟読する:意味を考えて、よく読む。

(71)もっとよくないとあるが、なぜか

(72)それとは何か

(73)筆者によると、小説家になりたい人がまず目指すべきことは何か

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