短文
(1)
 物まねのじょうずな人が小鳥の鳴き声や汽笛(注)や飛行機の飛ぶ音などをまねてみせると、人は感心する。もしそれが「物まね」であることを知らなければ、本物だと思って聞くので特別感心もしない。
 人はそれが本物でないことを知っていて、心の中にある本物の゗メージと比べて みて、似ていることを確認する。似てはいるが本物ではなく「物まね」であることを意識した時はじめて「うまい」「そっくりだ」と言う。

(山川学而『遊びと文化』による)


(注)汽笛:船が港を出る時などに出す合図の音

(55)人は感心するとあるが、なぜか。

短文
(2) 以下は、靴の会社の技術部員が受け取った社内メールである。

技術部員各位
 7月11日(木)15時より技術部全体会議を行います。
 検討項目は添付ファイルの通りですので、ご確認ください。
 なお、前回に続き、来年発売のマラソンシューズの構造について検討します。
 前回の会議での議論をもとに、全員改良案を作成のうえ、当日10時までに原田まだご提出ください。
 よろしくお願いします。
添付ファイル:7月11日技術部全体会議

会議担当 原田
2013年6月24日

(56)このメールを見た技術部員が必ずしなければならないことは何か。

短文
(3)
以下はビジネス文章である。
 2013年6月24日
 担当者各位

総務課長

事務用品の注文について


 これまで、事務用品は、総務課で事務用品配達サービス会社に一括して注文・管理し、各課に 支給してきました。しかし、事務作業を簡略化するため、8月より各課で直接注文していただくこと になりました。管理も各課でお願いいたします。
 なお、注文方法の詳細については、改めて説明会を行う予定です。
 よろしくお願いいたします。

(57)この文書を書いた一番の目的は何か。

短文
(4)
 客は、自分が好きな本を並べている本屋にであったとき、いい本屋だと思う。だが、その本はすでにもっているからもう買わない。だからその本は売れないのだが、客は自分の好きな本を置いてくれているその本屋に、他にも面白い本があるだろうと期待して何度も足を運び、別の本を買ってゆく。数字上は売上ゼロ冊の本がこうして店の売上げに貢献していることを考慮せずに棚をつくっていけば、本屋は魅力のない空間になってしまう――。
(石橋毅史『「本屋」は死なない』による)

(58)魅力ある本屋の姿勢として、筆者の考えに合うのはどれか。

短文
(5)
住まいは「生活の器」であると言われている。器と言えばよく引き合い(注1)に出されるのが食器である。うどんにはどんぶり、味噌汁には汁椀、ステーキには皿 9 というように食べ物に合った器が必要であり、汁碗に入ったステーキがナ゗フで切れないように器によって中身が制約される(注2)。この点では住まいも同様である。住み手毎にその生活は異なっているから、住み手に合った住まいが必要であり、逆に、住まいによっては住み手の生活が歪められる(注3)こともある。

(多田道太郎編『環境文化を学ぶ人のために』による)


(注1)引き合いに出す:例にする
(注2)制約する:制限する
(注3)歪められる:ここでは、変えられてしまう

(59)筆者によると、住まいと食器の共通点は何か。

中文
(1)
 日本の大学生はコピーをとる機会が多い。コピー代は大抵1枚10円で、決して高くはない。けれども、枚数が多いため、大学生にとってはそれなりの負担になる。コピー代が安くすめば、もう少し余裕のある学生生活が送れるかもしれない。
 このような事情を実感していた①大学生たちが5人集まって、無料でコピーがとれるコピー機を大学に設置する会社を始め、好評を得ている。
では、彼らはどうやってコピー代を無料にしたのか。それは、企業からの広告料を利用しようというアイデアから始まった。
 仕組みはこうだ。まず、この会社は広告を出してくれる企業を募集し、広告料をもらう。そして、その企業の広告をコピー用紙の裏面に印刷し、大学に設置した無料コピー機にセットする。学生がこのコピー機を使うと、コピー用紙の表には学生のとったコピーが、裏には企業の広告が載る。つまり、コピー用紙が企業の広告にもなるというわけだ。この会社は、このようにして得た広告掲載料を、無料コピー機の経費にあてているのだ。
 この仕組みは、広告を掲載する企業にとっても②利点がある。学生向けの広告を、学生に対してのみ効果的に出せるのだ。ちらしと違って読まずに捨てられることのないコピー用紙なら、学生が広告を見る可能性が高い。実際に若者向けの商品を主力とする多くの企業が広告を載せているという。
 学生のアイデアを生かしたこのような会社は、今後も増えていくだろう。

(60)①大学生たちは何を目的として会社を作ったか。

(61)この会社では、どうしてコピー代を無料にできるのか。

(62)②利点とあるが、この文章からわかる企業にとっての利点は何か。

中文
(2)
 心理学者で立正大学特任講師の内藤誼人さんも、就寝(注1)直前の勉強を勧める一人。では、日中の勉強は無駄が多いだけかというと、「そんなことはありません」 と内藤さん。眠る前以外にも、記憶をするのに効率的(注2)な時間帯があることが 分かっているそうです。
 以前、ゕメリカの教育心理学者が、小学5、6年生を対象に、記憶力や理解力が時間帯によってどう変わるかを調べる実験を行ったことがあります。その結果、計算や暗記などの作業効率は、午前10時と午後3時くらいがピークでした。午前8時の成績を100とすると、同10時に160まで上昇。その後、午後1時に98まで 下がり、同3時には103に上がるという曲線を描いたそうです。
 「午前と午後に一度ずつ効率の上がる時間帯に、最も集中して勉強すれば効果的。もちろん個人差はあるので、自分のリズムをきちんと把握(注3)し、ノッている(注4)時間帯を見つけることが大切です」1日に5時間勉強し、1時間に50個ずつ覚える。そんなやり方は、非効率極まりない(注5)。絶好調(注6)の時間帯に2倍のノルマ(注7)を課し、それ以外は軽く流す。 タイミングをとらえた勉強法が、記憶力を高めるのです。
 「能率の波は、自分で意識的にコントロールすることもできる。自分が勉強する時間帯に、最も頭の働きが良くなるよう習慣づけられればベスト」と内藤さん。タイミングを待つだけではなく、自分から作り出す“攻めの姿勢”が求められるのです。

(読売新聞2011年11月18日付朝刊による)


(注1) 就寝:寝ること
(注2) 効率的な:ここでは、効果が上がりやすい
(注3) 把握する:ここでは、つかむ
(注4) ノツている:ここでは、調子が良い
(注5) ~極まりない:非常に~だ
(注6) 絶好調の:非常に調子が良い
(注7) ノルマ:ここでは、しなければならない勉強の量

(63)アメリカの教育心理学者の実験結果について合っているのはどれか。

(64)この文章によると、効果的な勉強法とはどのようなものか。

(65)“攻めの姿勢”とは何か。

中文
(3)
 個性の重視ということが注目されるようになって以来、「子どもの興味を尊重し、 一人ひとりの子どもが興味を持つこと、『やってみたい』と言うことを好きにやらせ ることが、個性の重視である」という解釈が広がりました。しかしその結果、社会 生活上のしきたり(注1)や習慣を教える機会を失ったと悩む教師と、①好きなことしかやりたがらない子どもをつくってしまったということはないでしょうか。個性の 重視とは、「二人と同じ人間はいない、つまり人は一人ひとり異なる存在である。だ から、一人ひとりが異なった興味や価値観を持つのは当然である」という考え方を 肯定する人間観を意味しているのです。(中略)
 子どもの興味や関心は日々変化する可能性があります。しかし、なんらか(注2) の形でその対象を知る機会がなかったなら、興味を持つこともないのです。小学生 はまだまだ経験の幅が狭いものです。ですから、おのずと(注3)興味や関心を持つ 対象も、非常に限られた範囲のものになります。さまざまなものに興味を持つのを 待つばかりでなく、興味が持てるように、さまざまな体験ができるようにすること が大切です。

(渡辺三枝子『キャリゕ教育――自立していく子どもたち』による)


(注1)しきたり:昔からの決まり
(注2)なんらかの:何かの
(注3)おのずと:自然と

(66)①好きなことしかやりたがらない子どもをつくってしまったとあるが、筆者はどこにその原因があると考えているか。

(67)筆者は、子どもの個性を重視するとはどのようなことだと言っているか。

(68)子どもの教育について、筆者が言いたいことは何か。

統合理解
A
 将来、有効となる能力とは、「理解力」「想像力」「表現力」の三つです。数学や外国語、歴史、理科など、さまざまなジャンル(注1)、要するに別角度からのゕプローチ(注2)を経て、この三つの力を養うのが勉強の本質(注3)なのです。
 人生におけるほとんどの仕事は、この能力によってなされます。あるいは、子どもが成長して、大きな困難にぶつかったとしても、この能力が養われていれば、上手に克服することができます。 さらに、この能力は、小金を稼ぐためにのみ役立てるべきではありません。社会に貢献し、人類が進歩するための貴重な一助となるためにこそ、能力を高めなければならない、とそこまで言ってやると、子どもの目は断然と(注4)輝き始めます。

(鈴木光司『なぜ勉強するのか?』による)



B
 社会はわからないことだらけだ。そんな社会で生きるために大事なことは、わか らなくても簡単にあきらめないことだ。
 簡単にあきらめない能力を養うためにどうしたらいいか。実は、この能力を養う ために人は社会に出る前に勉強をしているのだ。勉強するとわからないことに出会 える。わからないからこそ勉強するのであって、初めからわかっていたら勉強しよ うという気も起きない。社会人になった今では数学も歴史も、習ったそのままの知 識は忘れ去ってしまったが日常生活には特に困ってはいない。しかし、わからない ことにチャレンジし、わかるようになるまであきらめずに勉強するという姿勢は、 今も役に立っている。

(注1)ジャンル:ここでは、科目
(注2)ゕプローチを経て:ゕプローチによって
(注3)本質:ここでは、いちばん大切なこと
(注4)断然と:ここでは、必ず

(69)AとBで共通して述べられていることは何か。

(70)勉強することについて、AとBはどのように考えているか。

長文
 この数十年の変化の中で、もっとも大きく変わったものは何かと問われると、私は人生の選択肢が飛躍的(注1)に増え、さらにその選択をする自由度が高まったことではないかと答えます。
(中略)
 親が決めたレールや、こうあるべきだという社会通念(注2)は、極端に少なくなり、どんな生き方も肯定される、そんな時代になったと思います。各人が自分の責任において、自分の生き方を選ぶことができるようになったのです。
 ところが、①この状況が人を幸せにしているとは必ずしも言えないというのが現状です。選択肢の数の増加と同じだけ、“これでいいのだろうか„„”という迷いも増えました。迷って選択ができない、あるいは選択したけれど間違ったと思う„„。 そんな人たちが増えてしまったのです。何かを得ようとして選択したことで、何かを失ってしまったかもしれない。本当は別の幸せがあったのかもしれないのに、自分はそのチャンスを逃してしまったのかもしれない。本当の自分は、こんな自分じゃなかったのではないだろうか。
 他の人とくらべて、自分の人生が劣っているのではないか、失敗だったのではないかと考えてしまう。こうやって自分を追い込み、自分の人生に自信がもてなくなる。そんな人をたくさん生んでしまったのではないでしょうか。 ②生き方なんてこれしかないと言われたほうが、実はラクなのかもしれません。 その中で、精一杯生きれば良いからです。でも、生き方はいくらでもあると言われたら、迷うのは当然のことだと思います。
でも大事なことはやはり、何をするかではなく、どう生きるかなのではないでし ょうか。どんな選択をしようと、これが正解だなんてものは誰にも決められません。 決められるとしたら、それは本人がそう思い込めるかだけです。
 だとすると、本人が自分の選択が良かったと素直に思える、あるいはその選択がど うであれ、自分は良く頑張った、精一杯やったと心から思えることが大切なのでは ないでしょうか。
 人生の選択肢の多さに惑わされないで(注3)ください。いま自分が何をしているかで、自分の人生を判断しないでください。大切なのは、何をしているのかではなく、どう生きているかなのですから。どう生きるかは、いまからでもすぐに変えら れるのですから。

(高橋克徳『潰れない生き方』による)


(注1)飛躍的に:大幅に
(注2)社会通念:広く社会に受け入れられている常識
(注3)惑わされないで:ここでは、迷わされないで

(71)①この状況とはどんな状況か。

(72)②生き方なんてこれしかないと言われたほうが、実はラクなのかもしれませんとあるが、なぜか。

(73)この文章で筆者が最も言いたいことは何か。

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(74)岩田さんはこの事典をなるべく安く手に入れたい。予約方法と代金の支払いはどうすればよいか。

(75)この事典を予約販売で購入した場合、安さ以外の利点はどれか。