短文
(1)
 大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど、タンパク質などの栄状が豊富で、長く日本人の健康を支えてきた。みそやしょうゆ、納豆などの伝統的な大豆加工食品は、今なお日本の食卓に欠かせない。その一方で、大豆の自給率(注)は下がり続け、10%にも満たなくなっている。少々心配な状況ではあるが、そうした中でも、新たな大豆加工食品が次々に出現している。大豆から作った飲み物である豆乳は1980年代から販売されているが、ここ数年の改良でぐっと飲みやすい味になり、生産量が増加している。また、大豆を使ったスナック菓子や大豆たんぱくを使ったビールのようなお酒も人気だ。
(注) 大豆の自給率 : 国内消費される大豆が、どのくらい国内で生産されているかを示す割合

(55) この文章の内容に合うものはどれか。

短文
(2)
 人はいったん相手に「こういう人だ」と思われてしまうと、なかなかその印象を修正するのは難しいという。なぜかというと、人間の脳は自分の考えの正しさを補強するような情報を無意識に集めるからである。自分の考えの補強につながらないような情報は、意識化せずに無視するのだ。たとえば、親が自分の子を「よく忘れ物をして困った子どもだ」と思っていると、ある日たまたま忘れ物をしても、「ああ、やっぱり」と、より強く思い、忘れ物をしない日が忘れ物をする日よりはるかに多くても、そのことは無視するのだ。

(問56) この文章の内容に合うものはどれか。

短文
(3)
日本では、桜の花は春の象徴として人々に愛されています。しかし、本来、春に咲くはず桜が秋に咲き、ニュースで話題になることがあります。原因として異常気象や温暖化を疑う人もいるようですが、実は葉が関係しているのです。桜は、夏の間に花の芽をすでに作っています。秋に落葉し、休眠して冬の寒さに耐えますが、落葉する前に、葉の中では休眠を誘う物質が作られます。その物質が作られる前に台風などで葉が落ちてしまったり、虫によって葉が食べられたりしてしまうと、休眠できずに、ちょうど春のような気温の秋に開花してしまうのです。

(57)春に咲くはずの桜が秋に咲くのは、なぜか。

短文
(4)
 「人間は平等だ。だれでも努力さえすれば、成功できる」と主張する人がいる。幸せな人だと思う。その人は、自分は努力したからこそ成功したのだ、ほかの人もそうできるに違いないと思っているのだろう。いくら努力しても、周囲の環境が成功を許さないという状況を想像できないのだろう。人は国籍も親も選べない。限界だらけの中で生きている。ある意味、思ったようにいかなくて当然だ。うまくいった人はよほど幸運だったのだ。そういう人に限って、なかなか気がつかないのだが、自分だけの体験をもとに安易にものを言うと、人を傷つけてしまうことさえある。

(58)この文章で筆者が主張していることは何か。

短文
(5)
 以下は、 市立図書館から来たメールの内容である。

ご予約の資料が用意できましたので、下記の図書館までお越しください。

取り置き期限を過ぎた場合は、お取り消しさせていただきます。

予約日 タイトル 取り置き期限
2012/11/13 日本の歴史 2012/12/10

山田市立中央図書館 電話番号 012-3456-7890
詳しくは以下のサイトをご覧ください。
http://wwwr.Hib.city.yamada.jp/

※なお、図書館とステム機器の入れ替えを行うため、
11月26日(月)て12月8日(土)は全館休館いたします。
※また、上記期間中は、図書館ホームページのサービスも休止いたします。
ご不便をおかけしますが、何卒ご了承ください。

(59) このメールの目的として、適功なものはどれか。

中文
(1)
 医師が説明する診断(注1)の結果、病名、大事なキーワード、治療(注2)の内容など、大事な事柄ことがらはできるだけメモをしておくことが必要だ。面接の最中に詳しくメモをすることは、記者のように職業的に取材に慣れている人でないと無理だが、本当に大事なポイントとか重要なキーワードくらいは、その場でメモできるだろう。当然、メモ用紙とペンくらいは持っていなければならない。
 そういう断片的な(注3)メモだけではどういう意味だったか、すぐにわからなくなるから、面接が終わったら、待合室(注4)のベンチなどで、会計や投薬(注5)を待つ間に、より詳しくメモを追加する。家に帰ってからまとめて書こうなどと思っていると、忘れてしまうことが多い。やはり病院なり診療所にいるうちに、医師の肉声を耳で思い返しながら、メモづくりをするのがよい。
 そして、メモを書こうとすると、①気づかされることがある。わかったつもりで「ハイ、ハイ」と聞いていたことが、実はよくわかっていなかったとか、理屈(注6)がよくわからないとか、今後の治療がどんな日程で進められ、その間に痛みや不快感を味わうことがあるのかどうかについてしっかりと確認していなかった、といったことを思い知らされるのだ。そういった疑問は、次の面接のときに聞くべきものとして、整理しておくとよい。

(柳田邦男 『元気が出る患者学』新潮社による)


(注1)診断:医者が病気について判断すること
(注2)治療:病気やけがを医者などが治すこと
(注3)断片的な:小さくて部分的な
(注4)待合室:病院などで順番が来るのを待つための部屋
(注5)投薬:(医者や病院が患者に)薬を与えること
(注6)理屈:理由と結論の関係

(60)筆者は、面接のときにはどのようにメモをするといいと言っているか。

(61)筆者は面接嫌わったら、どうしたらいいと言っているか。

(62)メモを書くときに何に①気づかされるのか。

中文
(2)
 かなり前、職人は「仕事は盗んで覚えるものだ」といっていたと伝わっている。私も若いころ、その話に近いことをいう職人たちと働いたことがある。
 しかし私は、そう豪語する(注1)人に限ってさほどの(注2)技量を持っていないと思っていた。いい仕事をする人は、仕事を覚え始める人には親切に基本を教えていたし、少しは仕事ができる人に対しても、①その人にとって初めての仕事ならば、やはり道具や機械の扱い方、手順(注3)などを分かりやすく話すという光景に出合っている。
 どうしてそうするかといえば、いい仕事をする人ほど、その仕事の一番大切なところは教わって覚えられるものではないと分かっていて、だからこそ、その最後のところを早く分かってもらえるように、教えられる基本の部分は教えようと考えるのだと思われる。また、自分の仕事能力に自信があるから、教えることを惜しまない(注4)。力がない人ほど、教えようにも何を教えたらいいのかが分からず、教える方法を知らない。また、教えると自分の競争相手を作ることになると考えて、教えることを止めてしまう。②「そんな」と思うかもしれないが、結構そのタイプの人がいた。いまも、いる。

(森清『働くって何だ 30のアドバイス』岩波書店による)


(注1)豪語する:自信があるように見せて、大きいことを言う
(注2)さほどの:それほどの
(注3)手順:何かをするときの順番
(注4)惜しまない:もったいないと思わないで、どんどんやる

(63)①その人とは、だれを指すか。

(64)②「そんな」と思うとは、どういう意味か。

(65)筆者は、仕事を教えることについて、どう考えているか。

中文
(3)
 「ルール」はなぜあるのでしょうか?
 スポーツを理解するために最初に確認しておきますが、“スポーツは人間が楽しむためのもの”です。①これが出発点です。決して「世の中に無ければならないモノ」でもなければ、生きるためにどうしても「必要なモノ」でもありませんが、楽しむためのモノであり、その“スポーツを楽しむ”ために「ルール」があるのです。 そして、ルールのもとで勝敗を競いますが、このことが楽しくないのであれば、スポーツをする価値はありません。他のことをやった方がずっとマシ(注)です。なぜなら、スポーツは「Play/ブレー」(=遊び)だからです。遊びである以上、好きにならなくてはいけないモノではありません。好きでないなら、しなければいいのです。決して無理をする必要はありません。
スポーツへの参加は強制されるのではなく、自由意思によるものでなければ、「遊び(=Play)」になりません。(中略)
「ルール」とは楽しむための具体的な約束事、つまり、「プレー(遊ぶ)」するために存在するのです。「ルール」というのは「いい」「悪い」を判断するものではありません。「楽しいか」「楽しくないか」が第一の判断基準です(ここが「法律とルールの違うところ」です)。

(高峰修 『スポーツ教養入門』岩友書店による)


(注)マシ:そのほうが、まだよい

(66)①これが出発点ですとは、どういう意味か。

(67)スポーツのルールと、法律との違いについて、筆者の考えと合うものはどれか。

(68)筆者がこの文章で述べていることと合っているものは、どれか。

統合理解

(69) AとBのどちらの文章にも触れられている点は何か。

(70) AとBの筆者は、展望台で初日の出を見ることについて、どのような立場をとっているか。

長文
 ひところ(注1)、①「それでえ、あたしがあ、言ったらア」と表記されるようなしゃべり方が耳についた。文節の最後を急に上げたあと下げる。記録によると、1970年代に発生し、今はさして(注2)若くない女性にまでも広がっている。
 あちこちで話題になったのに、名前はまだ確定していない。語尾(注3)を上げ、伸ばすところに着目して「語尾上げ語尾伸ばし」という人もいる。「尻上がりイントネーション(注4)」と言うこともある。(中略)
 なおこのイントネーションについては、全国的実地調査の結果や年齢別の調査結果はお目にかけにくい。自分で使っているのに、気づかない、それと意識しない(できない)人がいるからである。全国102の中学校あてにカセットテープを送って再生してもらい、自分で使うか、耳にするかを記入してもらった結果では、関東に使用者が多くて、関西は少ないという地域差が出た。しかし関西をとびこえて中国地方には普及しているなど、きれいに説明しにくい分布を示す。一方、テレビで関西の女性が使うのを耳にすることもある。東京付近から広がったことは確かだが、②現在の使用状況の地域差は把握し(注5)にくい
 このイントネーションを使った実例を集めて、使っていない例を混ぜて東京の学生に聞かせて感じを記入してもらったところ、栃木・茨城あたりの年寄りの使う口調とはまったく別の印あま象を与え、使ったときには、「かわいい」「甘えている」など以外に「押しつけがましい(注6)」などの感じを与えると分かった。さらに、いろいろな話し方を聞かせて実験してみると、このイントネーションを使うと実際より若く聞こえる。
 また録画した会話をみると、聞き手がうなずく例が多い。「エー」「ウン」などのあいづちも打つ。また相手が話しに割りこむ(注7)ことはない(実例は高校生の討論番組で司会者が割りこんだ例だけだった)。自分の話しを続けるために有効な手段といえる。
 ただこれは悪い印象を与える原因にもなる。相手の割りこみを許さないのだが、日本では、目上の人は相手の話しに割りこむ権利をもつ。それを妨害する(注8)わけだから、このイントネーションが、好意的に受け取られず、押しつけがましくひびくのだ。

(井上史雄 『日本語ウォッチング』岩波書店による)


(注1)ひところ:以前のある時期
(注2)さして:それほど
(注3)語尾:言葉の最後のところ
(注4)イントネーション:発音するときの音の高低パターン
(注5)把握する:しっかりと理解する
(注6)押しつけがましい:無理に話を聞かせようとするようす
(注7)割りこむ:まだ続いている会話の中に無理に入って、新しく話し始める
(注8)妨害する:じゃまをする

(71)①「それでえ、あたしがあ、言ったらア」と表記されるようなしゃべり方の説明として、正しいものはどれか。

(72)②現在の使用状況の地域差は把握しにくいのは、なぜか。

(73)筆者は、このイントネーションについて、どのような立場をとっているか。

情報検索

(74) 陳さんは、2週間後、1人でこのホテルに宿泊したいと考えている。たばこのにおいが嫌いなので、禁煙ルームを希望している。その場合、一番安く泊まれるプランはどれか。

(75) 加藤さんは、 5週間後に夫婦と5歳の子ども1人の家族3人で、このホテルを一部屋利用したいと考えている。ホテルで朝食をとることを希望している。一番安く泊まるにはどうしたらよいか。