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 ダブル・バインド論とは何だろうか。(中略)宿題をやりたくないので、忘れた振りをしてテレビを見ている子供がここにいる。案の定、母親にいつものように叱られてしまう。「宿題をやってから見なさい」。そこで子供は、しぶしぶと勉強を始める。すると母親はさらにこう言うのだ。「どうして他人に言われてからでないとできないの。そんなに嫌々やったって意味ないわ。自分から進んでやらなきゃ駄目でしょ」。このように命じられた子供は、どうすれば良いだろうか。実は、母親のこの命令(自発的に宿題をしなさい)に従うことは不可能なのである。(中略)恐らく彼はやりきれない気分のまま、身体を硬直させて宿題をやり続けるしかないだろう。

(大澤真幸『社会学のすすめ』筑摩書房による)

1。 (46) 筆者の説明によると、ダブル・バインドとはどのような状態か。