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 貴重な生物が多い地域には、貴重な言語も多い。そんな調査結果を、米英の研究チームが米科学アカデミー紀要に発表した。しかし、その多くの言語は話し手が少なく、英語など一部の言語が国際的に広がることで、①「総滅」の危険性があるという。
 チームは約6900の言語について地域的な特徴を分析。半分近い約3200の言語は、固有の生物が多いが、急速に生息地が失われている②「ホットスポット」と呼ばれる35の地域で使われていた。ホットスポットは地上の約2. 3%を占めるに過ぎないが、木や草、シダなどの約50%と、陸上に住む脊椎動物(注)の約40%がその地域だけに住む固有種だという。
 約2200の言語はその地域に固有の言葉で、約1500の言語は1万人以下、約500の言語は1千人以下の人しか話していなかった。
 言葉と生物の多様性が同じ地域で見られる理由について、チームは「複維で、地域ごとに異なるだろう」として詳しくは言及していないが、「人間の国際的な経済活動は、貴重な言語にとっても混在的な脅威になっている」と指摘している。

(朝日新聞2012年6月1 3日付夕刊による)


(注) 脊椎動物 : 背骨を持つ動物

1。 (56) ①「総滅」の危険性があることがわかったものは何か。

2。 (57) ②「ホットスポット」の特徴として正しいものはどれか。

3。 (58) 今回の米英チームによる調査を通じて、どのようなことが明らかになったか。