現代人は、あふれる情報の中で、何かというと自分を数値に当てはめて判断することに慣らされてしまい、現実は変えられないと思い込まされてしまっているのではないか。
 たとえば、あなたが受験生だとしよう。進学指導で、「きみの成績なら、あの大学に入れる確率は10%だね」と言われんたら、どうか。あなたは、自分を入れない90%の健に思いてあきらめるのではないか。それとも10%の側に言いてチャレンジするだろうか。
 確かに数値はうそをつかない。先生だってうそは言わないだろう。だが、先生は、過去の数値を示しているだけで、あなたがどちらの側に当てはまるかは判断していない。それを言えば先生に責任が生じてしまうからだ。つまり、それを決定するのはあくまでもあなたの主体性だということである。そして、その主体性を常にあきらめる側に誘導するために、数値は利用されているのではなかろうか。そこが問題なのである
 問題は数値だけではない。「科学」 もまた利用きれている。
 たとえばあなたは、毎日時間に追われ、忙しく働いている。そんなあなたがカゼをひいたとしよう。熱が出て、頭も痛い。どうするか。テレビをつけると、ちょうどカゼ楽の定伝をしている。あなたは何の疑いもなく、駅前のドラッグストアで、カゼ薬を買って帰るだろう。それで、何日か症状が軽くなるけれど、無理をして仕事を続け、結局、会社を休まなければならなくなる。違うだろうか。実は、カゼ楽を飲むよりも、飲まないでゆっくり休み、自分の体の免疫反応に任せてカゼのウイルスをやっつけたほうが早く治るという統計がある。つまり、人間には最初から病気を治す自然治癒力が備わっているのである。薬は、熱を下げ、炎症を抑えるかもしれないが、病気の原因であるウイルスをやっつけるわけではない。逆に、ウイルスをやっつける免疫作用まで抑えてしまう。だから、治るのが遅くなるのだ。
 カゼ薬を飲むのはあなたの自由である。だが、そのときあなたが忘れていることがある。病気を治すのはもともとあなた自身に備わっている自然治癒力だということ。それに気づかないようにするために、利用されているのが「科学」なのだということである。
 こうやって、自分の主体性を取り戻した目で周りを見渡せば、それこそ目からうろこが落ちるように、世界が違って見えてくるだろう。あなたが現実を変えるカギはそこにある。

1。 「問1」自分を数値に当てはめて判断するとは、どういうことか。

2。 「問2」そこが問題なのであるとあるが、何が問題なのか。

3。 「問3」カゼ楽を飲むと治るのが遅くなるのはなぜだと言っているか。

4。 「問4」 この文章で、筆者が言いたいことは何か。