ストレスについての研究は意外に古く、実は1世紀も前から続けられている。人間は実生活の上で、実にさまざまなストレスを受けるが、最も心的負担が大きいのは、配偶者の死亡だと言われている。即ち、結婚した男女の一方が死亡したときである。夫婦に限らず家族の一員の死亡が与えるショックの大きさはだれも否定しないだろう。これに代表される家族間・男女間のトラブルは、例えば、失恋や離婚なども心的負担が大きい。
それから、仕事の関係でのストレスが大きいのは言うまでもないだろう。会社の倒産や解雇による失業、転職も重大な問題だ。経済的な問題としては、カードローンによる自己破産もあるだろう。毎年3万人以上にものぼる自殺者の二大原因の一つは経済的問題だと言われる。
さらに、現代人が忘れてはならないのは、交通事故を起こしたり、違法行為をしたりして、裁判沙汰になることだ。法を犯して起訴され、処罰された者、さらにその被害者となった者された者、さらにその被害者となった者の心労は計り知れない。
以上に加えて、自分自身の健康状態もまたストレスになる。実は、自殺者の二大原因のもうーつが健康問題であり、心臓病や脳梗塞、そして癌などの死に関わる病気にかかると、生活が一変してしまうのだ。
こうしてみると、ストレスを決して軽く見てはいけないことがよくわかる。ストレス自体が精神的な病気であり、病気が病気の原因になるからだ。ストレスを研究していくと、胃潰瘍や高血圧、心臓病などの病気だけでなく、電車の事故やいろいろな事件までもが、何らかの心的な動揺やショックを受けた後に引き起こされていることが明らかになってきた。心理的なストレスが生理的な異常を引き起こし、それが事故や事件の引き金となっていたのだ。
ストレスと人間の生理との関係で注目されるのが自律神経の作用である。自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っており、簡単に言うと、体を緊張させるのが交感神経で、弛緩させるのが副交感神経ということになる。健康な体は両者のバランスが取れており、昼問は適度に緊張し、夜間は緊張を解いてゆっくり休む。ところが、ストレスを受けた体は、緊張が続くことにより、交感神経優位の状態になり、副交感神経を働かせられなくなる。こうなると、身体全体のバランスが崩れ、呼吸も浅くなるし、睡眠不足にもなり、その結果、免疫力も弱まり、さまざまな生理的な異党を来すことになる。
よって、ストレスを回避するには、普段から自律神経のバランスに気を配り、副交感神経を働かせる方法を身につけておくことだ。温泉に浸かってゆったりするのもいいだろう。要するに、リラックスして自分の体を癒やす方法を身につけることである。