短文
 近年、高齢者や妊婦などの、いわゆる「買い物弱者」を対象とした新しいサービスが注目されています。大手牛乳配連会社のある販売店では、配達先の一人暮らしのお年寄りの安否(あんぴ)確認サービスを始めています。宅配ボックス内の飲み物の有無を確認し、配達された状態のまま残っていれば、親族に連絡が届く仕組みだそうです。電気店や商店街では、商品宅配時に次回の注文をとる「御用(ごよう)聞き」サービスに取り組んでいるところもあります。「作りさえすれば客が集まる」時代は確実に終わりを告げ、時代のニーズに即した新しい販売の形がますます求められているのです。

(1)新しい販売の形に最も近いものはどれか。

短文
 雲や風や空の色などの自然現象や生物の行動の様子などを目で観察して、経験をもとに天気を予想することを「観天望気(かんてんぼうき)」と言う。例えば、「空が灰色になり冷たい風が吹くと、やがて激しい雨が降る」「ハチが低く飛ぶと雷雨(らいう)」などと言われている。気象衛星やコンピューターなどの技術の進歩によって、天気予報の精度(せいど)は向上を続けているが、局地的(きょくちてき)(注)かつ急激な気象の変化については、まだまだ予測が難しいというのが実情である。自然災害から身を守るためには、天気予報だけでは決して十分でなく、人々が経験的に得てきた知恵をうまく生かすべきだと思う。
 (注)局地的 : ある区域に限られた

(2)「観天望気」の説明として、本文の内容に合っているものはどれか。

短文
 毎日不況に関する暗いニュースばかり見ていると、我々が置かれている状況はかなり悲観的なのではないかとさえ思えてくる。しかし、本当にそうなのだろうか。
 先日、ある雑誌でブータンの特集を読んだ。ブータンでは、国内総生産だけでなく、国民総幸福量を重視しているらしい。持続可能なエネルギーを使い環境を守りながら、自給自足の暮らしを目指した結果、国民の9割以上が幸せだと感じているそうだ。
 振り返ってみれば、我々もかつては必要な物だけを自分たちで作り、それで十分だったではないか。今日の日本が目指すべきは、高い経済成長ではなく、プータンのような①真の意味での幸せの追求なのではないだろうか。

(3)この文章によると、真の意味での幸せを追求する社会にはどのような特徴があるか。

短文
(社内の掲示)

節電のお願い



当社では、電力不足に対応するため、節電を実施しております。
下記の節電対策にご協力をよろしくお願いします。



 1. 夏季は軽装けいそう(注1)を心がけ、エアコンの設定温度を28Cに保つ。
  冬季は(かさ)()などをして、エアコンの設定温度を20Cに保つ。
 2. 昼間は廊下、玄関ホールの電気を消す。
 3. 長時間使用しない電気機器のコンセントを抜く。
 4. パソコンを使わない時は電源をオフにする。
 5. 18時以降の残業を減らし、必要があれば早朝出勤する。
 6. なるべく階段を利用し、エレベータの使用を控える。

以上   

2011年7月1日 

総務部総務課 



(注1)軽装 : 上着を脱ぐなど、行動しやすい軽めの服装になること

(4)この文書に示されている節電対策のとおりに実行しているのはどれか。

中文
 小笠原(おがさわら)諸島(東京都)が国内4カ所目の世界自然遺産に登録されることが決まった。観光客増加による経済効果に期待は高まるが、環境悪化が懸念される。各地の自然遺産が抱える共通のジレンマ(※l)だ。
 この点は最近、国内初の自然遺産である屋久島(やくしま)(鹿児島県)で表面化した。屋久島町は今月、島の象徴である縄文杉などへの観光客立ち入りを制限する条例案を議会に提出したが、全会一致で否決された。縄文杉は樹皮をはぎ取られたりと損傷が絶えないが、町は制限すると宿泊料などで年2億3000万円の損失が出ると試算しており、経済効果を優先させた格好だ。
 現在、小笠原諸島では登録後も( A )との意見が日立つ。本土との交通手段が約6日に1回の船便(中略)に限られているのが理由だ。
 しかし、大陸と地続きになったことのない「海洋島」にたどり着いた生物は、競争相手が少ないまま世代をつないだだけに、外来種に駆逐(※2)されやすい特徴がある。
 外来種は人だけでなく、建築資材や農産物に付着する。国が助言を求めている科学委員会は、物の往来に対する監視強化と、乗船者への検疫を求めている。「ガラスの生態系」と呼ばれる脆弱(せいじゃく)な自然をどう守るのか。観光客に入島税を課して外来種対策の財源に充てるのも一案だろう。

(2011年6月25日付け毎日新聞朝刊による)


(※1)ジレンマ:希望する二つの事柄の片方を立てれば、もう片方がよくない結果になるという状況
(※2)駆逐:追い払うこと

(5)否決されたとあるが、なぜ否決されたのか。

(6)( A )に入るものとして、最も適当なものはどれか。

(7)科学委員会は、この問題についてどのような提案をしていると考えられるか。

中文
 (前略)人間には落ちこみと交互に高揚の時期が周期的に訪れるわけですが、成功したり、幸運に恵まれたりするとやはり高揚します。欲求が満たされたためというよりも、前途が開けて、生命力が活性化するからです。このように高揚した状態が心理に反映すると、うれしいとか喜びとか幸福感という気持ちになります。単に欲求が満たされるだけで、それが未来につながらない場合は、単なる快感に終わってしまいます。
 つまり、うれしいというのはそのときだけの状態ではなく、これから希望を持って挑戦的に生きてゆこうとする状態なのです。人間は挑戦的に生きようとする存在ですが、生命力が高まると、その性質が強くなります。
 ( A )出てくる鼻歌というのは、いわば進軍ラッパか行進曲みたいなものです。もちろん、音楽にもいろいろの種類があって、三三頁に説明した(※l)静かなクラシック音楽のようなものは行進由にはなりません。従って、うれしいとこきよの鼻歌の多くはリズミカルなものということになるでしょう。あるいは、心を鼓舞(こぶ)するような歌です。
 (中略)うれしいときには、鼻歌だけではなく、日頃はめったにしない他人の手伝いなどもしたりします。人間嫌いとは反対に、他人と一体となって生きる本来の性質も強く現われるのです。

(千葉康則「ヒトはなぜ夢を見るのか」PHP研究所による)

(※1)三三頁に説明した:(この文章を収めている本の)33ぺージの中で説明した

(8)( A )に入る最も適当なものはどれか

(9)筆者は進軍ラッパをどのようなものの例として使っているか。

(10)この文章の内容と合っているものはどれか。

中文
 「香り松茸まつたけ、味シメジ」なんていうけれど、スーパーで売っている人工栽培されたシメジの味気ないこと。椎茸しいたけだってエノキだって同じ。味&香りは、採れてから経過した時間に反比例するのだから、今さら愚痴っても始まらないのだけれど。
 その点、山をほっつき歩いて(※1)見つけた(きのこ)は香ばしくて味が濃くて、おまけに見つけるまでの苦労や疲労や、吸いこんだ森の清浄な空気や、いちいち見とれた景色や、茸狩りの現場にやって来るのに費やした時間や金までが詰まっているのだから、ありがたいことこの上ない
 同じ狩りと言っても、鹿狩りや猪狩りや熊狩りなどに比べて茸狩りは、ひっそりと穏やかで殺生の罪悪感を覚えなくても済むというのに、ハンティングの魅力を十分に持ち合わせてもいる。狩りの対象を探索しなくてはならないということは、すなわち見つからない可能性もあるということで、()け事につきものの偶然を必然にすべく(茸の特性や現場についての)一定の知識経験や技術を必要とし、その上さらに、幸運を必要とするということなのだ。未知と偶然があり、運不運があることこそが、人を狩りに駆り立てる魅力ではないだろうか。
 まあ、そんなわけで、山で採りたての茸の味を覚えてからというもの、スーパーの茸売り場はパスするようになった。

(米原万里「心臓に毛が生えている理由」角川文庫による)


 (※1)はっつき歩いて:あちこち歩き回って

(11)ありがたいことこの上ないとあるが、そう感じるのはなぜか。

(12)茸狩りについての筆者の説明と合っているものはどれか。

(13)筆者が述べていることと合っているものはどれか。

中文
 その男は、何匹かのネズミを飼っていた。かず多くのなかから選んだ、敏感な性質のネズミばかりだった。(中略)
 男がネズミとくらしているのは、かわいがるだけが目的ではなかった。男はいつも、背中をなでてやりながら、こんなことをつぶやく。
 「考えてみると、おまえたちがいなかったら、わたしは何回も災難にあっていただろうな」
 ネズミには、近づいてくる危険を、あらかじめ感じとる力があるのではないだろうか。男はこのことに気づき、その利用を思いたったのだ。そして研究は成功し、①役に立った
 かつて、ある日、ネズミたちが、とつぜん家から逃げ出したことがあった。わけがわからないながらも、男はそれを追いかけ、連れもどそうとした。
 その時、激しい地震がおこった。さいわい外にいたから助かったが、もし家に残つていたら、倒れた建物の下敷(したじ)きになっていたはずだ。死なないまでも、大けがをしたにちがいない。
 また、こんなこともあった。船に乗ろうとした時、連れてきたネズミたちが、カバンのなかでさわぎはじめた。乗るのをやめると、ネズミたちは静かになり:=読した船は、(A)。
 こんなふうに、ネズミのおかげで助かつたことは、ほかに何回もあつた。それらを思い出しながら、
 「なにしろ、事故や災害の多い世の中だ。これからも、おたがいに助けあつていこう」と男がエサをやっていると、ネズミたちがそわそわしはじめた。いままでに危険が迫った時、いつも示した動作だつた。
 「ははあ、なにかがおこるのだな。こんどは、なんだろう。火事だろうか、大水だろうか。いずれにせよ、さつそく引っ越すことにしよう」
 急ぐとなると、その家を高く売ることはできなかつた。また、安い家をゆっくりさがしているひまもなかつた。しかし、それぐらいの損はしかたがない。ぐずぐずしていて、災難にあったらことだ。
 新しい家に移ると、ネズミたちのようすは、もとにもどった。気分が落ちつくと、男はあわなくてすんだ災難がなんだったかを、知りたくなった。ぞこで、電話をかけて聞いてみることにした。(中略)
 「そういえば、あれからまもなく、となりの家に住んでいた人もかわりましたよ。そんなことぐらいです」
 「そうですか。こんどの人は、どんなかたですか。きつと、ぶつそうな人でしょうね」
 と男は熱心に聞いた。災難は、②となりにやってこた人に関連したことだろう。あのまま住んでいたら、いまごろiよ、やつかいな事件に巻きこまれたにちがいない。だが、相手の答えは、意外だった。
 「いいえ、おとなしい人ですよ」
 「本当にそうですか」
 「たしかです。ネコが大好きで、たくさん飼っているような人ですから」
 たくさんのネコ。人間にはべつになんでもない。しかし、ネズミたちにとっては、ただごとではなかった(※1)のだ。
 

(星新一著「災難」〔角川文庫刊『きまぐれロボットJ所収〕※一部省略あり)

(※1)ただごとではない:なんでもないことではない、大変なことだ(ネコはネズミを食べると言われていることから)

(14)研究はどのように①役に立ったのか。

(15)( A )に当てはまるのは、どれか。

(16)②となりにやってこた人はどんな人だったか。

(17)この小説の内容に合わないものはどれか。

長文
 A

 最近、昼寝の効果についての研究が盛んに行われている。これらの研究によると、昼寝には、疲労回復・事故の予防・作業効率の上昇などの効果があるという。
 人間が昼食後に限くなるのは、生体(せいたい)(※1)リズムによるもので、昼過ぎに小さな眠気のピークが来るとされている。ちょうど大や猫が食事をした後に横たわつて眠ることが多いのと同じように、人間が昼食後に眠気を感じるのも自然な生理現象なのだ。
 それでは、適当な昼寝の長さはどれぐらいか。研究によると、15~20分程度だという。人が眠りにつくと最初の15~20分が浅い眠り、それ以上が深い眠りとなり、浅い眠りは脳をリフレッシュ(※2)させるが、深い眠りは眠気を強く残してしまうからだ。特に運転時は居眠り運転につながりやすいので注意が必要だ。


B 

 昼食後に眠くなることは誰にでもありますよね。そんな時は眠つてしまうことをお勧めします。眠気を我慢して仕事をするより、頭がすっきりしてミスが減り、ストレス解消にもなるのです。
 こうした昼寝の効果を得るうえで、いくつかポイントになることがあります。まず、熟睡(じゅくすい)(※3)はダメです。20分程度が昼寝に適した時間で、211分間座ったまま目を閉じるだけでも十分効果的です。次に、時間は午後2時ごろがベストです。逆に、午後3時以降の昼寝は夜の睡眠によくない影響を与えかねないので、避けるようにしましよう。最後に、昼寝の前にコーヒーを飲むと、すつきり目覚められます。カフェインには眠気覚(ねむけざ)ましの効果があり、それが効いてくるのが摂取(せっしゅ)後(※4)30分ごろなのです。つまり、昼寝から目覚めるころには効いてきて、その後は頭もすっきり()えている、というわけです。
 (※1)生体:生きているもの、またその体
 (※2)リフレッシユ:元気を回復させること、気分を新たにすること
 (※3)熟睡(じゅくすい):ぐっすりとよく眠ること
 (※4)摂取(せっしゅ)後:栄養物などを体内に取り入れてから

(18)AとBの文章から、昼寝にはどのような効果があるといえるか。当てはまらないものを選びなさい。

(19)AとBの二つの文章を以下のようにまとめる場合、①と②に入るものの組み合わせとして適切なのはどれか。
 Aの筆者は( ① )について述べ、Bの筆者は( ② )について述べている。

(20)AとBの文章の内容と合っているものはどれか。

統合理解
 新しい芸術について語り、芸術は、つねに新しくなければならないと主張するまえに、「新しいということは、何か」という問題をはっきりさせたいと思います。
 まず、新しいという言葉そのものについて、考えてみましよう。①以外にも、大きな問題をふくんでいます。だいいち、この言葉の使い方に、混乱が見られるのです。たとえば、新しいということは、無条件に清純で、ちょうど酸素のように、それがあって、はじめて生きがいをおぼえるような、明るい希望にみちたものです。
 ところで、また、これが逆によくない意味で使われることがあるのは、ご存じのとおりです。つまり、また無条件に、なまっちょろくて未熟、確固としたものがない、軽佻浮薄(けいちょうふはく)(注1)の代名詞にもなるのです。
 おなじ言葉に、このような二つの相があり、反対の価値づけをされています。一方にとって強烈な魅力であり、絶対的であればあるほど、それだけまた一方には、対極的に反発し、悪意をもつ気配も強いのです。これが抽象語におわっているあいだは問題はないのですが、いったん社会語として、新旧の世代によって対立的に使い分けをされはじめると、思いのほか深刻な意味あいをふくんできます。いったい、どういうわけで、どんなぐあいにこの対立が出てくるか、見きわめる必要があります。
 新しさをほこり、大きな魅力として押しだしてくるのは、それを決意するわかい世代であり、このもりあがりにたいして、古い権威は、既成のモラルによって批判し、進断しようとするのです。
 (中略)
 世の中が新鮮で動的な時代には、新しさが輝かしい魅力として受けいれられ、若さが希望的にクローズアップされます。しかし反対に、動かない、よどんだ時代には、古い権威側はかさにかかつて新しいものをおさえつけ、自分たちの陣営を固めようとします。
 たとえば、われわれの身辺をふりかえつてみても、この②命的な攻防ははっきりと見てとれるのです。
 (中略)
 言葉の使い方のうらには、あいいれない対立的な立場、時代的な断層があるのです。にもかかわらず、同じ共通語でちがった考えを主張するから、混乱がおこってくるのです。
 このように言えば、新旧の対立を、やや図式的に二分しすぎ、新しい芸術家の立場から身びいき(注2)な言い方をしているように感じられるかもしれません。しかし、歴史をひもとけば、あらゆる時代に残酷な新旧の対立があり、新しいものが前の時代を否定し、打ち倒して、発展してきていることがわかります。
 自分の時代だけを考えていると、どうしても、ものの見方が近視眼的に、安易におちいりやすいので、どこまでも広く、冷静に観察すべきなのです。

(岡本太郎「今日の芸術一時代を創造するものは誰か」光文社知恵の森文庫)


 (注1)軽佻浮薄:気分が浮わついていて、軽々しいこと。
 (注2)身びいき:自分に関係のある人だけに特別な対応すること。

(21)筆者は「新しい」という言葉をどのように説明しているか。

(22)①以外にも、大きな問題をふくんでいますとあるが、筆者は何が問題だといっているか。

(23)②命的な攻防の説明として本文の内容と合っているものはどれか。

(24)筆者の主張と合っているものはどれか。

主張理解

「問」東京在住の黒田さんは、12月26日に奥さんと7歳と9歳の娘さん2人の4人で京都へ旅行に行くことにした。最も安いプランで1泊したいと思つている。黒田さんはどのホテルに宿泊するか。

「問」大西さんは、10月1日に10歳の息子さんと2人でホテルキヤツスル四条に1泊したいと考えている。行きは小田原駅を利用する予定だが、帰りは千葉に住む親戚の家に寄るつもりだ。京都旅行の費用は合計でいくらになるか。