普通、学校の成績が良ければ将来が約束されると思いがちだが、だれが将来成功するか予測する場合は、あまり役に立たない。学校の成績と将来の成功を結びつけるのは困難であり、むしろ例外のほうが多いくらいである。
学校で行われるテストの成績が人生における成功の要因として占める割合は20%程度に過ぎない。残りの80%は、他の要因で占められている。例えば、サラリーマンの最終的な地位は、はほとんどテス トの成績とは関係のない要因によって決定き れるのである。
だからといって、成績がまったく参考にならないというわけでもない。高校の 1 年で、どんなにがんばっても、数学のテストが毎回クラスの平均点以下しか得点できない人は、数学者になろうとしないほうがいいだろう。しかし、自分で会社を経営したり、国会議員になりたいのなら、夢をあきらめるべきではない。
考えてみてほしい。高校で社長になるための勉強をするだろうか。そうではないし、また歌手になるための方法を先生が教えてくれるわけでもない。高校3年間で習うのはごく一般的な知識に過ぎない。それが役に立つのは、せいぜい大学に進学するときだけと言っていいだろう。いい大学に入っていい会社に入るためだけなら、高校の成績が大事だというのもわかるけれど、本当の人生はそれから先に待っている。そこから先の道は自分独りで試行錯議しながら切り開いていかなければならない。人間関係も大事だし、運も左右するだろう。他の要因が大きいというのはそういう意味なのだ。