今のように国際化が進み企業が多国籍化していくと、経済もまたEU (欧州連合) のように、国を越えて経済園という形態をとるようになる。そうなると、たとえばギリシャのように、一国の経済破綻がヨーロッパ全体の経済に影響を与え、さらにそれが遠くアメリカや日本の経済にまで余波を及ぼしてくる。グローバル化した経済は、もはやー国内の問題ではあり得ない。世界全体の関係として成り立っているのである。
そこで、前世紀のように一国の経済破綻が戦争を引き起こすといったことのないようにするためには、国際協力が必要となり、富んでいる国が貧しい国を援助する「贈与」 の思想が必要となる。 人類が核兵器を持つに至った以上、それは避けられない。
一方で、国内において、国外からの経済危機の影響を最小限にとどめるためには、経済の基盤である実体経済を揺るぎないものにしなければならない。経済破綻が起きるのは、実体経済から遊離した金融経済の部分である。架空の取引が巨大に膨らんだ末に弾けて、被害を世界に撒き散らすのである。その影響が実体経済に及ばないように、つまり私たちの実生活が第害を受けないようにしなければならない。
そのために、大事なのは、国家を越えた巨大な経済時に対して、私たちが実際に生活している生活圏という発想である。生活圏の経済を安定したもの、より充実したものに育てていくこと。世界経済、国家経済が危機を迎えてもびくともしないぐらいのリスク管理を備えた生活圏を築くことである。