給食を実施している小中学校などで米飯給食が広がっている。国公私立の99、9%が行い、回数も2007年度に全国平均で週3回となった。文部科学署ち先月の発表では、08年度はさらに週31回に増えている。
第2次大戦後、コッペバンと脱脂粉乳を中心に始まった学校給食は、すっかり様相を変えた。改正された学校給食法が昨春施行され、給食の目的自体も、「栄養改善」から「食育」へ、やつと転換した。
米飯給食が正式に登場したのは1976年だ。余ったコメを食べてほしいという狙いがあった。いまや日本の伝統的な食生活を学び、食材について考える絶好の教材(41)。
米飯給食の週5回完全実施をしている学校は全国でまだ5%だ。そのなかで新潟県三条市は03年、米飯を原則にすることとし、08年からは月に1、2回あつたバンやめんもやめた。
「子どもがご飯に飽きて食べ残しが増える」と心配する声もあった。だが食べ残しの量を調べると、今年度は03年度より小学校で88ポイント、中学校で92ポイント少なくなった。子どもたちも受け入れているのだろう。
「身土不二」という言葉がある。人間の体と土とは一体だという意味だ。明治時代に軍医の石塚左玄らが起こした「食養道運動」のスローガンに使われ、「自分の住む土地の四里(16キロ)四方以内でとれた旬のものを食べる」ことを理想とした。
地元の魚や野菜を食べる「地産地消」に通じる考え方だ。給食でコメを(42‐a)にすれば、おかずも(42‐b)が増え、地元でとれる野菜や魚介類をより多く利用することにが増え、地元でとれる野菜や魚介類をより多く利用することにつながる。
輸入食材ではなく身近なものを選べば、輸送時に排出される二酸化炭素の量を抑えようという「フードマイレージ」の考え方にもかなう。給食を地場農産物の利用などを学ぶ機会とするためにも、(43)以上に地場食材を使っていきたい。
文科省は85年に米飯給食の実施の目標を「週3日程度」と決めた。それが達成されたことから、昨年からは「週3回以上」(44)。「週4回」とならなかったのは、「設備負担が増える」という自治体や「打撃を受ける」というパン業界からの反対が強かったためだ。
地産地消を考えるなら、米粉を使ったバンを導入するなど、工夫の余地もまだあるだろう。
1人当たりのコメ消費量は、昨年度59キロである。消費が最も多かった半世紀近く前の半分だ。食料自給率も65年度の73%から昨年度は41%になった。loo%を超える米仏などとは対照的に、先進国の中では最低水準だ。
コメ離れに苦しむ農家や食料自給率のことを(45)、食育である。
(「朝日新聞」2010年2月15日付)