2番
私が結婚したばかりのころの話である。仕事の後で同僚と飲みに行ったが、遅くなり、帰りの電車がなくなってしまった。しかたなくタクシーに乗って帰ることにした。行き先を言うと、運転手は私が急いでいると見たのか「高速道路で行きましょうか。」と聞いた。かなり酔っていた私はよく考えずに「そうしてくれ。」と答えた。いつの間にかタクシーの中で寝てしまったようで、気がつくと家の中にいて、目の前に怒った妻の顔があった。妻が払ったタクシー料金は、長距離のうえに高速道路代まで加わって、とんでもない額だったらしい。妻はその後も「安月給なのに……」と文句を言い続けた。