本田さんが若いときに海外出張でE国へ行ったときのことである。到着後、まずは取引のための打ち合わせが必要なので、相手企業のスタッフに連絡し、2日後に会うことを決めた。2日後、決められた場所に行ったが、相手が来ない。電話をかけてみたところ、 「気が変わった。打ち合わせは後日にしてほしい」とのことだった。本田さんは驚いた。そして腹も立った。せっかく遠路をやって来たというのに、「気が変わった」の一言で約束を取り消すとは失礼だ・しかも連絡なしに…。後日、本田さんは現地の日本人にこの話をした。すると、彼はこう言った。「この国ではそんなことがよくあるんです。パーティーに招待した相手から出席するという返事があった。しかし、当日来なかった。しかも何の連絡もない。…招待されたとき、出るつもりがなくても一応受けておくんです。その場ですぐ断るのは失礼に当たるからなんだそうですよ」これを聞いて、本田さんは、「失礼」もいろいろなのだと納得せざるをえなかった。