話し手の話の内容を聞き手が決めたとき
人に強い影響を与えるのは大部(注1)からなる作品とは限りません。何気なく
(注2)読んだ、たった一言に心打たれることもあります。そして、書物を越えて、私たちは世の中のあらゆるできごとについても同じように、そのときどきに応じた深度で読んでいるのです。つまり、読みとろうと思えばどんなできごとからでも「自分にとって意味あること」を読みとれるということではないでしょうか。学ぼうとする姿勢があれば何からでも価値あることが学びとれるのだとつくづく私は思うのです。
(村田夏子『読書の心理学-読書で開く心の世界への扉 』による)
(注1)大部:書物の冊数やページ数が多いこと
(注2)何気なく:はっきりとした目的や理由を持たないで